2013 Fiscal Year Annual Research Report
水素ガスを用いた肺移植後虚血再灌流傷害への新たな治療法の開発
Project/Area Number |
25893118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 知裕 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30528675)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 移植・再生医療 / 外科 / 酸化ストレス / 水素 |
Research Abstract |
肺移植患者に対する水素吸入の臨床試験に向けて,水素ガス接続可能人工呼吸器システムの予備実験を行い,プロトタイプのシステムを構築した.水素4%,窒素96%の混合ガスを吸気ラインに接続するため,人工呼吸器での酸素濃度,換気量の設定が正しく反映されなくなる.そのため人工呼吸器の設定値と,実際の酸素濃度・換気量の解離を検証し,換算表を作成した.これにより臨床試験の実施が可能となったため,施設の倫理委員会へ申請し,現在承認待ちである.倫理委員会承認が得られれば,肺移植後,集中治療室にて人工呼吸管理中で,吸入酸素濃度が比較的低い状態でも呼吸状態が安定した患者に対し,1.3%の水素ガス吸入を24時間継続的に投与する臨床試験を開始する予定である. 当研究室では水素が細胞内のNrf2シグナルを介して,抗酸化作用を示すことを証明した.さらなる水素分子の作用メカニズムの検証のため,Nrf2シグナル活性化が体外から検出可能なマウスを導入し,動物実験系,摘出肺からの細胞培養実験系の確立に現在務めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
水素接続可能人工呼吸システムの構築,検証に予想以上の時間を要した.25年度に臨床試験の開始には至らなかったが,施設の倫理委員会へ申請は終了した.また水素の抗酸化作用のメカニズムを検証するための基礎実験系の確立にも時間を要している.現在系を立ち上げるための予備実験中であり,さらにマウスを用いた動物実験系の準備もすでに開始している.
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Strategy for Future Research Activity |
集中治療室での臨床試験が安全に遂行することが確認された後,水素投与可能な麻酔器システムを構築し,移植手術中に水素投与を目指す.水素作用メカニズムの基礎実験系,動物実験系を確立すると同時に,マウス肺移植実験モデルの確立の準備を開始している.
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Research Products
(1 results)