2013 Fiscal Year Annual Research Report
補体制御因子CD46のT細胞関連型拒絶反応におけるメカニズムの解明と治療への応用
Project/Area Number |
25893119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
角田 洋一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40710116)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 腎移植 / 拒絶反応 / CD46 |
Research Abstract |
当初はまずラット同種腎移植T細胞関連型拒絶反応(以下TCMR)モデルに対して補体制御因子に対する抗体である抗Crry抗体を投与し生着率を検討する予定であったが、抗Crry抗体の作成に時間を要したため、まずヒト移植腎における補体制御因子CD46の発現と臨床的予後との関連について検討した。腎機能の悪化などを理由としたエピソード生検でTCMRと診断されたヒト移植腎64例におけるCD46の発現を免疫組織染色にて評価したところ、CD46低発現群と高発現群の2群に分類することが可能であった。2群間で腎機能、生着率を比較したところ、CD46高発現群において拒絶反応治療に対する反応が良好であり、治療前の血清クレアチニン値およびeGFR値に差はなかったが、治療後の血清クレアチニン値がCD46高発現群において有意に低くeGFRが有意に高値であった。また生着率もCD46高発現群において有意に高かった。CD46の発現に影響を与える因子を検討したところドナーの年齢が高くなるにつれ移植腎におけるCD46の発現が低くなる可能性が示唆された。つまりCD46を高発現群している移植腎は拒絶反応治療に対する反応が低発現群よりも良好であり、結果として生着率改善につながったと考えられた。高齢ドナーではCD46の発現が低く、近年我が国では高齢ドナーが増加傾向にあるため、CD46が拒絶反応に与えるメカニズムを解明し、治療に応用することが可能であれば臨床上有用な治療方法になり得ると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定ではまずラット腎移植モデルを用いて補体制御因子Crryの有用性とメカニズムを解明し、その後ヒト移植腎における補体制御因子CD46の発現などを検討する予定であったが、実験に必要な抗Crry抗体の作成に時間を要したため順序を変更しまずヒト移植腎における評価を行った。そのためラット腎移植モデルの実験は当初より遅れていると言えるがヒト移植腎での検討は当初予定していた通りに進展している。抗Crry抗体の作成にも成功したため、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット抗Crry抗体の作成に成功したため、今後はラット腎移植TCMRモデルに抗Crry抗体を投与しその有用性とメカニズムを検討する。同時に現在も行っているラットRedombinant Crry-Igの作成を継続し、作成に成功したら同モデルに投与し検討する。さらには本年度の成果であるヒト移植腎における補体、補体制御因子関連の発現の解析をすすめる。
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