2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌性モノマーを配合したマルチユースタイプの抗菌性歯面処理剤の開発
Project/Area Number |
25893121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 蘭奈 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70711068)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 歯科材料 / 抗菌性 / レジンモノマー / 第四アンモニウム化合物 / 歯面処理剤 / Streptococcus mutans / 接着性 |
Research Abstract |
まず、抗菌性モノマーMDPB単体のStreptococcus mutans、Lactobacillus casei、Parvimonas micra、Enterococcus faecalis、Fusobacterium nucleatum、Porphyromonas gingivalisに対する最小発育阻止濃度/最小殺菌濃度 (MIC/MBC) を測定し、口腔細菌に対する抗菌力の評価を行った。その結果、比較として用いたchlorhexidine digluconate よりも抗菌力は劣るものの、MDPBは6種の口腔細菌すべてに対して強い抗菌性を示し、25.6~102.4 μg/mLの濃度で殺菌が可能であった。 つづいて、80 (wt)%エタノールにMDPBを5%配合した抗菌性歯面処理剤(以下ACC)を試作し、2% chlorhexidine digluconateを含有する市販窩洞清掃剤であるConsepsis (Ultradent、以下CPS) と抗菌力を比較した。阻止斑形成試験において、ACCは上記の6菌種に対してCPSと同等の抗菌性を示した。また、S. mutansを感染させた象牙質モデルを作製し、ACCまたはCPSで30秒間処理した後の残存細菌数を測定したところ、ACCではCPSに比べて生菌数が有意に少なくなった。とくに、細菌数の少ない軽度の感染モデルではACC処理によりすべての細菌を死滅させることが可能で、ACCが強い即時的な殺菌作用を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように、本年度は、MDPBの各種口腔細菌に対する抗菌力評価を終えた後、MDPB配合抗菌性歯面処理剤の試作に成功し、これを用いて市販窩洞清掃剤との抗菌効果の比較実験を行った。当初予定していた阻止斑形成試験およびS. mutans感染象牙質モデルを用いた即時殺菌効果の検討を行い、試作歯面処理剤の有効性の確認ができており、計画した実験は全て完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、S. mutans感染象牙質モデルをACCで処理し、Live/Dead BacLight Bacterial Viability Kitsを用いて染色後にCLSM観察を行うことにより、象牙細管内に侵入した細菌に対するACCの効果を直接的に評価する予定である。 また、ACC処理による各種接着剤の歯質接着性への影響の評価を計画している。レジンセメントの接着性に対する影響については、ヒト抜去大臼歯をACCまたはCPSにて処理し、セルフアドヒーシブタイプおよびプライマー使用タイプのレジンセメントを用いてステンレス棒を接着させ、せん断接着試験を行う。一方、直接修復に用いる接着システムに関しては、ヒト抜去大臼歯をACCまたはCPSで処理し、支台築造用または充填修復用セルフエッチングシステムを用いてコンポジットレジンを築盛し、微小引張接着試験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)