2013 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨腫瘍・嚢胞による顎骨破壊、吸収のメカニズムの解明
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25893125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 智明 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80548818)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 顎骨腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の研究から、炎症性・腫瘍性を問わず全ての骨吸収性疾患に破骨細胞の活性化を誘導する因子、Receptor Activator of NF-kB Ligand (RANKL)の関与が示されている。しかしながら、口腔外科領域で最も頻度の髙い疾患である顎骨嚢胞の増大と骨吸収の機序としては、古くから提唱されている嚢胞裏層上皮細胞の増殖と嚢胞内容液による圧迫性骨吸収が受け入れられているにすぎず、破骨細胞の活性化やその関与については検討されていないのが現状である。一方で、歯胚発達や萌出に関わる分子生物学の研究結果からは、歯原性上皮細胞が産生するサイトカイン(Parathyroid hormone related peptide; PTHrP)が歯胚周囲のRANKL発現を促進し、破骨細胞を活性化することにより、形成過程の骨組織から歯胚を保護し萌出方向の骨を吸収するメカニズムが報告されている。さらに、歯胚の歯嚢線維芽細胞も種々のサイトカインによってRANKL発現が調節されていることも報告されている。これらの背景は、歯原性上皮細胞は周囲に破骨細胞を誘導する潜在能力を有することを示している。 そこで、「歯原性上皮細胞はRANKL発現を促進するサイトカインを産生し、嚢胞や腫瘍性疾患に伴う骨吸収を制御しうる」作業仮説を得るにいたった。本研究では、顎骨腫瘍や顎骨嚢胞による顎骨破壊、吸収の分子メカニズムを明らかにするために、腫瘍および嚢胞上皮細胞と間質線維芽細胞の相互作用に焦点をあて、特に、腫瘍・嚢胞の上皮細胞が産生するサイトカインによる間質線維芽細胞での破骨細胞活性化因子 RANKL発現調節機構と、そのサイトカインによる破骨細胞分化誘導の直接的作用を明らかにすることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年8月、患者より分離・培養していた顎骨腫瘍・嚢胞の細胞株ら及び各種サイトカイン等を保管していた超低温冷却装置が突然故障し、実験に用いていた重要な細胞株が死滅したため、再度、新規患者より細胞を分離・培養する必要が生じた。そのため当初の計画と比べ、やや進行に支障をきたした。現在細胞株の分離も順調に進み、当初の研究の遅れを取り戻しつつありおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
患者より分離・培養していた顎骨腫瘍・嚢胞の内容液を用い、内溶液中に含まれるTGF-βの濃度をELISA法を用い測定する。また分子メカニズムの解析も継続して行う。ある程度の成果が得られているため、その内容をまとめ英語論文の校正を行い論文掲載する予定である。
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Research Products
(3 results)