2013 Fiscal Year Annual Research Report
Ifチャネルを指標としたヒトES細胞由来ペースメーカ細胞分取と拍動制御機構の解明
Project/Area Number |
25893134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
森川 久未 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (90707217)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | ペースメーカ / イオンチャネル / ヒトES細胞 / HCN4 / 自動能 / Ifチャネル / 心臓 |
Research Abstract |
心臓拍動の歩調とりは、心臓の洞結節に存在するペースメーカ細胞によっている。しかし、ヒトの生体から直接採取することは不可能なため、生化学的解析をはじめとして電気生理学的解析も十分ではない。そこで、1)独自のペースメーカ細胞の可視化-選別法を用い、ヒトES(embryonic stem)細胞からペースメーカ細胞を選択的に分取する実験系の構築と、2)大量調整が可能なES細胞の分化誘導系の特徴を活かし、自動能の生成に関わるIfチャネルのサブユニット構造の解析を試みた。 1)これまでにKhES-1ヒトES 細胞株を用いて、拍動部位に特異的にGFPを発現する#1株の樹立に成功していた。ペースメーカ細胞を再現性良く分取できるか調べたところ、高い自家蛍光のためGFP蛍光が隠れ、選別がうまくいかない場合があることが分かった。そこで、#1株を用いて培養法など検討を進めるとともに、KhES-3株を用いて新たに40株を樹立し、#21株を同定した。#21株も#1株と同様に、正常な核型を示し、拍動部位でのみGFPを発現することを明らかにしている。また、心筋分化初期には、自家蛍光が低いことなどが分かった。 2)Ifチャネルは、HCN4を主要な構成要素とすることから、免疫沈降法によってHCN4と相互作用する分子の同定を試みた。本年度は、免疫沈降の条件決めを行った。Chick β-Actin プロモーターの下流に、HAタグを付加したHCN4の強制発現ベクターを作製し、過剰発現させたHEK293細胞を樹立した。パッチクランプ法で解析すると、If電流を検出でき、加えて、ウエスタンブロッティング法や免疫染色法によって、HCN4を過剰発現していることが分かった。この過剰発現株を用いて、HCN4および結合タンパク質の免疫沈降実験のための、抗体の選定など各種パラメータの条件決めを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、入手が困難な心臓ペースメーカ細胞を大量に純化した状態で調整し、その特性を解析することである。このため、最も重要なことは、効率よく、しかも大量に純化したペースメーカ細胞を選別採取できる実験系を構築することである。 本年度の研究から、ペースメーカ細胞の最良のマーカーであるHCN4遺伝子座に、BACベクターを用いてGFP遺伝子をセミノックインすることによって、拍動部位で、GFPが特異的に発現するヒトES細胞株の樹立に成功した。これによって、ペースメーカ細胞の選別採取の可能性が大きく広がり、その特性解析に移ることが可能となる。予備的な結果であるが、樹立した#1株の心筋分化画分からHCN4陽性細胞の調整に成功し、HCN4の発現などの確認にも成功しており、ほぼ計画通りに進行している。しかし、自家蛍光が高く、GFPシグナルが隠れてしまうこともあり、現在、より良い培養法、分離法の検討を進めている。 また、Ifチャネルの構造解析は、HCN4と相互作用する分子の同定によって進める方針である。このためには、どのHCN4抗体を用いるのか、免疫沈降の条件はどうするのかなど、予備的な研究が必要である。本年度は、HAタグを付加したHCN4の過剰発現ベクターの作製、過剰発現細胞でのHA-HCN4タンパク質の発現、それに伴うIf 電流の生成を確認することができた。この細胞を用いることによって、HCN4抗体の選別、HAタグを利用した条件決めなどが可能となる。ひとたび条件を決定できれば、私は、すでにマウスES 細胞に由来するHCN4陽性ペースメーカ細胞の調整に成功しているので、速やかに免疫沈降実験を開始できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の4項目の検討を行う。①ペースメーカ細胞の特性解析、②Ifチャネルサブユニット構造の解明、③ペースメーカ細胞で発現する遺伝子の網羅的遺伝子解析、④ペースメーカ細胞の自動能の生成基盤の解明。 ① 分取精製したGFP陽性細胞が、ペースメーカ細胞特性を示すかどうかを検証する。具体的には、RT-PCRや免疫染色によるマーカー遺伝子(HCN4など)の発現解析、パッチクランプ法による電気生理学的特性解析(If電流)、自律神経作動薬に対する応答能などを調べる。 ② ペースメーカ細胞におけるIfチャネルの構成タンパク質を、免疫沈降実験により同定する。まずHA-HCN4を過剰発現するHEK293細胞やHL-1心房筋細胞を用いて、HA抗体などによる免疫沈降実験を行い、実験系の適正化・条件決めを図る。マウスES 細胞に由来するHCN4陽性細胞を用いて、HCN4抗体による免疫沈降実験を行う。沈降産物に、(1)他のHCNファミリー遺伝子、(2)MiRP1が含まれるか、を各抗体によるウエスタンブロッティングによって検証する。また、沈降産物を直接、質量分析にかけ、HCN4に結合するタンパク質を同定する。 ③ マイクロアレイあるいは次世代シーケンサーにより、ヒトHCN4陽性細胞の遺伝子発現プロファイルを作成する。加えて、ヒトNKX2.5陽性細胞やヒトMYH6陽性細胞について作成した遺伝子発現プロファイルと比較し、ペースメーカ細胞特異的な生理機能に関わる遺伝子の絞込を行う。 ④ 上記の研究によって、候補遺伝子を特定できれば、その遺伝子に対するノックダウン実験及び過剰発現実験を行い、自動能、If電流などの変化をパッチクランプ法により測定する。これらの実験より候補遺伝子が、どのようにペースメーカ機能に関わるか明らかにし、ペースメーカ細胞の自動能の生成基盤を解明する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Instability of KCNE1-D85N that Causes Long QT Syndrome: Stabilization by Verapamil.2014
Author(s)
Sakata S, Kurata Y, Li P, Notsu T, Morikawa K, Miake J, Higaki K, Yamamoto Y, Yoshida A, Shirayoshi Y, Yamamoto K, Horie M, Ninomiya H, Kanzaki S, Hisatome I.
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Journal Title
Pacing and Clinical Electrophysiology
Volume: 未定
Pages: 未定
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Hsp90 prevents interaction between CHIP and HERG proteins to facilitate maturation of wild-type and mutant HERG proteins.2013
Author(s)
Iwai C, Li P, Kurata Y, Hoshikawa Y, Morikawa K, Maharani N, Higaki K, Sasano T, Notsu T, Ishido Y, Miake J, Yamamoto Y, Shirayoshi Y, Ninomiya H, Nakai A, Murata S, Yoshida A, Yamamoto K, Hiraoka M, Hisatome I.
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Journal Title
Cardiovascular Research
Volume: 100(3)
Pages: 520-528
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Simultaneous treatment with azelnidipine and olmesartan inhibits apoptosis of Hl-1 cardiac myocytes expressing E334k cMyBPC.2013
Author(s)
Bahrudin U, Ikeda N, Utami SB, Maharani N, Morikawa K, Li P, Sobirin MA, Hasegawa A, Sakata S, Endo R, Rifqi S, Shirayoshi Y, Yamamoto K, Ninomiya H, Hisatome I.
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Journal Title
Drug Research
Volume: 63(10)
Pages: 515-520
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] AMP deaminase 3 plays a critical role in remote reperfusion lung injury.2013
Author(s)
Li P, Ogino K, Hoshikawa Y, Morisaki H, Toyama K, Morisaki T, Morikawa K, Ninomiya H, Yoshida A, Hashimoto K, Shirayoshi Y, Hisatome I.
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 434(1)
Pages: 131-136
DOI
Peer Reviewed
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