2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛におけるボツリヌス毒素の鎮痛効果メカニズムの検討
Project/Area Number |
25893140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丸濱 功太郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60712792)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 神経伝達物質 / 三叉神経 / 精製A型ボツリヌス毒素 / 知覚神経節 / 軸索輸送 |
Research Abstract |
神経障害性疼痛では、知覚神経節内において、神経節細胞から神経伝達物質の遊離が亢進し、近傍の細胞間での情報伝達や疼痛情報の増強が生じることが示唆されている。そのような中、我々はこの疼痛情報の増強の軽減を目的として、ボツリヌス毒素を用いることを試みてきた。これまで、末梢に投与した精製A型ボツリヌス毒素(BoNT/A)が三叉神経節における神経伝達物質遊離を抑制することや、ラットの疼痛反応を軽減することを明らかとした。しかし、BoNT/Aが疼痛抑制効果を発現する詳細なメカニズム、すなわち末梢に投与したBoNT/Aの局在や、細胞内輸送メカニズムについては不明である。そのため本研究においては、神経障害性疼痛の新規治療法の開発を目的とし、末梢に投与したBoNT/Aの三叉神経における取り込み機構ならびに神経内輸送メカニズムを検討する。SD系ラットの培養三叉神経節細胞に、蛍光標識したBoNT/A重鎖を加え、細胞内におけるBoNT/Aの局在を、またラット頬髭部中央に蛍光標識したBoNT/A重鎖を投与し、摘出した三叉神経節細胞におけるBoNT/Aの局在を共焦点レーザー顕微鏡装置にて観察した。投与20分後、培養三叉神経節細胞内に標識の局在が観察された。また末梢投与60分後、同側三叉神経節細胞内において標識の局在が観察された。さらに、コルヒチン前投与により、三叉神経節細胞内の標識蛍光輝度が有意に低下した。本結果は、末梢に投与したBoNT/Aが一次求心ニューロンに取り込まれ、軸索輸送により細胞体に到達することを示すものである。よって、輸送されたBoNT/Aが、神経障害性疼痛の発症への関与が示唆される一次求心ニューロン細胞体の存在する神経節内の神経伝達物質遊離を抑制する可能性を示唆することが理解できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画であるin vitro・in vivoにおける精製A型ボツリヌス毒素(BoNT/A)の軸索輸送の観察に関しては、蛍光標識したBoNT/Aを末梢投与した際、その局在を三叉神経節細胞で観察した。また、軸索輸送阻害剤であるコルヒチン前投与により、その局在が三叉神経節細胞において消失することを観察した。末梢に投与したBoNT/Aが一次求心ニューロンに取り込まれ、軸索輸送により細胞体に到達することを示すものであることが理解できた。 平成26年度の研究計画である三叉神経節におけるBoNT/Aの効果については、その標的であるSNAP-25の発現を観察するべく現在準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢三叉神経支配領域に投与したBoNT/Aが三叉神経節細胞に取り込まれること、またその輸送に軸索輸送が関与する可能性が示唆される。今後、BoNT/Aの標的である膜タンパク質のSNAP-25の発現に関する研究として、ウエスタンブロッティングや免疫組織化学の手法を用いて検討を進めていく予定である。
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