2013 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルジェネティクスを基盤とした生理活性物質のメカニズム解析法の確立
Project/Area Number |
25893142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山野 喜 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (70650597)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 線虫 / Magnolol / Auraptenol |
Research Abstract |
本研究では、天然物の抽出エキスから抗線虫活性物質の単離、構造解析とその作用メカニズム解析を行う計画を立てている。その中でも平成25年度は抗線虫活性物質の単離、構造解析に重点を置いて研究を行った。 研究室で保有する天然物の抽出エキスライブラリーより抗線虫活性を示すものをスクリーニングし、活性を示したエキスから活性物質本体の精製を行った。その結果、厚朴Magnolia BarkよりMagnolol、蛇床子Cnidium monnieri CussonよりAuraptenol類などの既知物質を単離し、サダソウPeperomia japonicaからは新規化合物Compound A-Dを単離、構造解析した。得られた新規化合物は構造的に類似する既知の化合物で抗線虫活性が報告されていないことから、新規の標的分子を持つ化合物である可能性が高いと予想している。続いて本研究で新たに構築する活性メカニズム解析法を用いてこれら化合物の標的分子の解明を行う予定である。 活性メカニズム解析法の確立に関しては、平成25年度は必要な器具の整備や基本的な技術の習得が主な成果であった。本解析法の構築は全く新たな取組であったため、まず研究体制を整える必要があり、その一環として本研究補助金を用いて新たに安全キャビネットを購入することでスムーズに研究を進められる体制を整えた。 平成25年度の研究の成果として、標的分子未知の新規化合物の単離構造解析に成功し、続くメカニズム解析法構築の体制も整ったことから、平成26年度は新規メカニズム解析法の構築に重点を置き研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より平成25年度は抗線虫活性物質の単離構造解析を行い、平成26年度はその活性メカニズム解析を行うという計画であったため、その通りに進行している。 単離される抗線虫活性物質の中で、標的分子が未知の新規化合物が得られる可能性は高くないことから、それが期待通りに得られたことに関しては評価できると考えている。 一方で、新規活性メカニズム解析法の確立が当初の予想以上に進んでいるとは言えないことから、研究課題全体としては「おおむね順調に進展している」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究の結果、新規活性物質が得られると共に新規メカニズム解析法を構築する体制が整ったので、平成26年度は当初の計画の通りに形質転換体ライブラリーの作成、それらを用いたメカニズム解析を進めていく。また、新規メカニズム解析法の有用性を評価するために、他の既知の方法を用いたメカニズム解析も同時に進めていく予定である。具体的には、変異導入試薬を用いて変異を導入したC. elegansからの薬剤耐性株の分離とその変異箇所の同定により標的分子を解析する予定である。
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