2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム解析による肺癌細胞の浸潤・転移に関わる分子機構の解明
Project/Area Number |
25893144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
笹田 伸介 広島大学, 大学病院, 医科診療医 (30711329)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 腫瘍学 / 肺癌 / 細胞遊走 |
Research Abstract |
研究の目的である肺癌における肺癌細胞の浸潤・転移い関わる低分子をメタボローム解析により検討すべく、肺癌細胞の培養と、遊走能の評価、および遊走に関わる低分子群の検討を行った。 肺癌細胞株は既に有しており、即座に使用可能なCalu-6、A549、PC-9、NCI-H820の4種類の細胞株を使用した。まず、細胞株の培養を行い、それぞれの増殖能・遊走能を評価した。Calu-6とNCI-H820の2株、A549とPC-9の2株はそれぞれ同程度の増殖能・遊走能を有しており、前者と比較して後者の増殖能・遊走能は強い結果であった。この結果から、まず遊走能の異なる細胞集団を比較することで、遊走に関わる分子の拾い上げを行った。質量分析法を用いた2群の培養細胞株の細胞内低分子パターンの検索を行うにあたって、1細胞探索の前段階としてそれぞれの細胞集団から得た細胞内抽出液を用いて、細胞内低分子パターンの網羅的解析を行った。液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS法)を用いて高感度解析を行った。タンデム質量分析法(MS/MS法)により分子構造の決定を行い、分子を同定した。得られたデータを主成分分析することにより、細胞株毎にグループ化することができ、細胞株およびEGFR変異別に特徴的な分子が存在することが判明した。遊走能の強い細胞株にはhistidine、threonine、tyrosineといったアミノ酸類、カルニチン類およびOctadecanamideなどの有機酸が多く存在した。一方、各種glycerol、sphingosinなどの脂質類、ビタミン類やある種のアミノ酸は少ない結果であった。 これらの分子が真に遊走に関わる分子であるかをさらに検討し、ビデオマススコープを用いた1細胞における検索でも再現性があることを確認できれば、細胞の遊走機構に従来と異なる角度から迫ることが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の解析では、まず遊走能の異なる細胞群の特徴的な分子を探索し、段階的に細胞遊走に関わる分子を絞り込むことを予定したが、実際の実験では、細胞検体作成にあたって、増殖なのか遊走なのかを明確に区分しにくい状況があった。1細胞分析をより高感度に行うために、候補分子を特定しておくことは重要であり、より適切な条件設定を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
LC-MS法による細胞遊走分子の候補リストを作成し、1細胞分析をより高感度に行うことを予定している。実験環境において、細胞の遊走と増殖を明確に区分しにくい状況があるため、適切な条件設定を検討している。
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Research Products
(6 results)