2013 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質をコードしない長鎖RNAはストレス誘発性神経可塑性障害に関与するのか?
Project/Area Number |
25893152
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
樋口 尚子 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教 (00711269)
|
Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
Keywords | non-coding RNA / lncRNA / うつ病 |
Research Abstract |
当教室はBALB/cマウスにMildなストレス(床敷きを濡らす、ケージを斜めに傾ける、他のマウスケージに移す、狭いケージに閉じ込める、酢酸の匂いを嗅がせる、餌を砕いて食べにくくする、明暗を反転させる)を6週間毎日ランダムに与えると、うつ様行動が増加し、このうつ様行動は抗うつ薬のイミプラミン長期投与によって改善することを報告している。この慢性ストレス負荷BALBマウスをうつ病モデルとして使用した。慢性ストレス負荷群は後半の3週間に抗うつ薬(SSRI、三環系抗うつ薬など)投与する群と投与しない群に分けた。対照群はハンドリングのみ行う非ストレス群とした。ストレス負荷終了後、各マウスの脳から海馬および前頭前皮質を単離した。単離したマウスの海馬から、TRIzol試薬を用いてトータルRNAを抽出した。精製したRNAは、分光光度計、電気泳動を用いて夾雑物が混じっていないこと、分解が進んでいないことを確認した。抽出したトータルRNAからPoly A polymerase+オリゴdTプライマーを用いて逆転写を行い、cDNAを作成した。アジレント社のcDNAマイクロアレイチップを用いて、網羅的な発現解析を行い、lncRNAのうちストレス依存的に有意に変化しているものや、抗うつ薬依存的に有意に変化しているものを分散分析およびPost hoc検定(tukey)を用いて解析した。また、多重検定補正(Benjamini-Hockberg)を行った。すると132のnon-coding RNAが有意に変化していることが分かった。今後はこれらのnon-coding RNAの機能解析を行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析するサンプルとして、慢性ストレス負荷BALBマウス(抗うつ薬投与群、非投与群)のサンプルを計画通りに採取することが出来た。また、cDNAマイクロアレイによって、132プローブのnon-coding RNAの有意な発現変化が認められたことから、機能解析にむけての足掛かりを見つけることが出来た。当プロジェクトが採択されてから中断するまでの間での進展としては十分であり、計画通りの進行と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒットしたすべてのnon-coding RNAの機能を調べることは困難であるため、選別する作業が必要となる。計画書に記載してあるとおり、選別のために、マウスNeuroblastoma由来のNeuro2a細胞、ラットGlioma由来のC6細胞、マウス初代培養神経細胞などの培養細胞に抗うつ薬を添加した際のnon-coding RNA変化も参考にする。また、選別する際は過去の文献も参考にする。今後も計画書にそって、研究を進める予定である。
|