2013 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病による歯周病悪化での小胞体ストレス応答伝達タンパク質ATF6の役割の解明
Project/Area Number |
25893159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高原 一菜 徳島大学, 大学病院, 医員 (60707040)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 歯周病 / 小胞体ストレス / ATF6 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
口腔内の慢性炎症性疾患である歯周病に罹患すると歯周組織の破壊を伴い、歯槽骨の高度な吸収を認める場合は抜歯を余儀なくされ、著しい生活の質(QOL)の低下を招く。また、全身疾患との関与が報告されており、その1つが糖尿病である。糖尿病患者では、免疫力低下、コラーゲン代謝異常、創傷治癒の遅延などが原因で歯周病が重症化することが知られているが、その詳細なメカニズムは明らかにされていない。近年、炎症の新たなメカニズムとして小胞体機能の破綻(小胞体ストレス)が注目されており、歯周病の発症および進行に小胞体ストレスが関与するのではないかと考えた。本研究では小胞体機能維持に重要な役割を果たす小胞体ストレス伝達タンパク質の1つであるATF6に着目した。ATF6は小胞体ストレス応答(UPR)の起点となる小胞体ストレス応答伝達タンパク質の1つであり、転写因子として働き、タンパク質の折りたたみを促進する分子シャペロンの転写を促進させることで小胞体ストレスの緩和を図る。ATF6には構造が類似したATF6αとATF6βが存在する。それぞれのノックアウト(KO)マウス用いて、高脂肪食による肥満モデル(2型糖尿病)を作成し、また免疫系細胞の解析を行い、ATF6が免疫系細胞活性に必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATF6αKOマウスおよびATF6βKOマウスKOを用いた解析から、ATF6が免疫系細胞活性に必要であること、更にATF6αとATF6βが異なる機能を有することを示唆する結果を得た。引き続き糖尿病合併歯周病モデルマウスを作成し、個体レベルでの解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において小胞体ストレス伝達タンパク質ATF6が免疫系細胞活性に必要であることが明らかとなった。免疫系細胞間には相互作用が報告されているため、ATF6の炎症系シグナルにおける役割の検証を行うとともに、ATF6αKOマウスとATF6βKOマウスを用いて、糖尿病合併歯周病モデルマウスを作成し糖尿病による歯周病悪化でのATF6αとATF6βの機能の違いを明らかにする。
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