2013 Fiscal Year Annual Research Report
肝脾相関のメカニズムの解明と脾機能制御による肝硬変症に対する革新的治療法の開発
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25893166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川中 博文 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10363334)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 脾門脈外科 |
Research Abstract |
【1.肝硬変症における肝内血管抵抗増犬に対する眸の積極的な関与について】 (研究目的)本研究では、実際の肝硬変症患者において、肝脾相関の分子機序として、脾による肝内微小循環障害、肝線維化、肝再生への積極的な関与を明らかにすることで、脾機能の制御による肝機能改善の可能性を探ることを目的としている。 (方法)肝硬変57例(Child-Pugh A/B/C=19/29/9)を対象とし、術前・術後7-10日目に超音波ドプラや肝静脈カテーテル検査による門脈血行動態、および末梢血・肝静脈血中endothelin-1(ET-1)、NOXについて評価した。 (結果)摘脾により、門脈血流速度は変化しなかったが、断面積は0.83→0.62 (cm2)、血流量は699→575(ml/min)と有意に低下し、うっ血係数も0.057→0.044 (cm•sec)と有意に低下した。肝静脈圧較差は23.9→17.2(cmH2O)と有意に低下し、肝内門脈血管抵抗も0.038→0.026 (cmH2O/ml/min)と有意に低下した。摘脾により、ET-1値は末梢血で2.95→2.11(pg/mL)、肝静脈血でも2.37→1.83 (pg/mL)と有意に減少した。NOX値は末梢血で29.2→25.0 (pg/mL)と低下傾向を示し、肝静脈血では24.5→30.9 (pg/mL)と増加傾向を示した。以上の研究により、肝硬変の門脈血行動態において、脾腫は門脈流入血流増大だけでなく、ET-1やNOを介して肝内門脈血管抵抗増大にも関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究成果を邦文論文に投稿・掲載され、英文論文は現在査読中である。
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Strategy for Future Research Activity |
肝硬変症における脾機能制御の意義が明らかになったため、脾機能制御の方法として、脾臓摘出術ではなく、脾腫を改善するための分子機序を肝硬変ラットモデルを用いて検討する。
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