2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25893177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹内 研時 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10712680)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 歯周疾患 / 血清抗体価 / Porphyromonas gingivalis |
Research Abstract |
本年度は、久山町生活予防健診において、採血や歯科健診、加えて歯科保健行動や歯科医院への受診状況などに関する質問紙調査を実施した。さらに、採血した血液を用いて血清中の歯周病菌であるPorphyromonas gingivalis (Pg)に対するIgG抗体価の測定を行なった。 その結果、832名の回答を得た。その内、血清抗体価の検査値に欠損が無く、歯の本数を10本以上有する533名のデータを分析に用いた。533名の内訳は、男性が223名で平均年齢は54.7歳、女性が310名で平均年齢は53.6歳であった。歯周疾患の重症度を表す指標に、総天然歯中のポケット深さ4mm以上の歯の割合を用い、Pg菌の血清IgG抗体価との関連を検討したところ、Pg抗体価高値群は、低値群に比較して4mm以上の歯の割合が有意に高いことがわかった(p<0.001)。さらに、総天然歯中のポケット深さ4mm以上の歯の割合が10%以上の場合を重度歯周病と定義し、重度歯周病の有無を従属変数に、Pg抗体価を独立変数にロジスティック回帰分析を行なったところ、Pg低値群と比較してPg高値群は重度歯周病である割合が3.81倍有意に高いことがわかった(OR=3.81, 95%CI=1.78-8.18)。さらに、この関連は性別や年齢を考慮した多変量回帰分析の結果でも、有意なままであった(OR=3.73, 95%CI=1.71-8.15)。本研究の結果より、Pg菌の血清IgG抗体価は歯周疾患の重症度と有意な関連を示した。このことは、Pg菌の血清IgG抗体価が将来の歯周疾患重症化を予測する因子となる可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、目標であったデータ収集と解析を遂行できたことから、おおむね順調に進んだと考えられる。次年度は、平成19年以降の調査データと今年度の調査データを用いて、Pg菌に対する血清IgG抗体価の変動と歯周疾患の重症化との関連を縦断的に検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、得られたデータを基に、Pg菌に対する血清IgG抗体価の値と歯周疾患の重症度との関連を横断的に評価し、その関連を確認した。次年度は、平成19年以降の調査データと今年度の調査データをリンケージすることで、ベースライン時のPg抗体価の値がどのように歯周疾患の重症化に影響を及ぼすかを縦断的に評価する予定である。その際、ベースライン時の生態学的特性や保健行動などを共変量としてモデルに投入し、多変量解析を行なうことで、可能な限りの交絡因子を取り除いた結論に至ることを狙いとする。 本研究の成果から、歯周病菌の血清IgG抗体価が歯周疾患重症化の予測因子となる可能性が示された場合、将来的に成人健診における血液検査を応用し、効率的に歯周疾患重症化ハイリスク者のスクリーニングを実現することが可能になると考える。
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