2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロサイモシンα欠損に起因する運動機能不全の治療ターゲット分子群の同定
Project/Area Number |
25893178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐々木 恵太 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 技能補佐員 (80711598)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 薬理学 / 神経生理学 / 生物系薬学 / 創薬 / 行動薬理学 |
Research Abstract |
核内タンパク質であるプロサイモシンアルファは、神経保護機能を有することが知られている。本課題申請者の所属研究室では、プロサイモシンアルファの発現脳領域に依存した内在性の神経保護機能を明らかにすべく、脳領域特異的なプロサイモシンアルファのコンディショナルノックアウトマウス群を作出している。特出すべき事項として、運動機能調節を司る線条体領域でプロサイモシンアルファを欠損したマウスは、脳梗塞後遺症で見られる運動障害に類似した運動機能障害を示した。そこで本研究課題では、線条体特異的なプロサイモシンアルファ欠損マウスが示す運動機能障害の発症機序を明らかにするため、行動学的に運動障害を自然発症する時期の特定と、脳梗塞病態時の神経脆弱性について評価することとした。また、線条体組織を用いた運動障害や神経脆弱性に関連する分子の発現変動を解析することで、運動機能障害の新規治療標的分子を探索することとした。 平成25年度は、線条体特異的なプロサイモシンアルファ欠損マウスが示す、運動障害の自然発症時期の詳細な解析を実施し、正常マウスと比較し有意な運動機能の低下を示す時期の特定に成功した。さらに、脳梗塞処置を実施することで、正常マウスよりも運動障害がさらに重篤化する知見を見出しつつある。これら、行動学的解析により得られた情報を元に、病態発症前と発症後における線条体組織を採取し、遺伝学的もしくは生化学的な解析を行う生体試料とした。現在は得られた試料を活用し、遺伝子、またはタンパク質発現解析手法により病態の責任分子、さらには運動障害の治療標的となりうる分子の探索に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線条体特異的なプロサイモシンアルファ欠損マウスが示す、運動障害発症時期について行動学的な解析がほぼ完了した。その結果、加齢に伴う自然発症性の運動障害と、脳梗塞性の運動障害増悪を示す両条件下で、脳組織試料の採取が可能な段階である。さらに、本マウスが示す行動学的な異常は、線条体におけるプロサイモシンアルファ欠損に起因すると考えられるため、線条体組織を採取し病態に関連する遺伝子、またはタンパク質発現解析手法を駆使することで、病態責任分子候補の探索に着手することが可能な段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子、またはタンパク質発現解析手法について、先ずは予備的な実験より病態との関連性を見出だせているドパミンシグナル伝達にかかわる分子種の発現変動から解析を開始する。併せて、①運動機能制御、②神経脆弱性、③神経可塑性制御に関連性を示す分子種を中心に網羅的に発現変動解析を実施することで、病態に関わる変動分子群を解析する。最終的に、変動分子種の中から治療標的となりうる分子に関して、その作用薬剤を探索し、行動薬理学的に病態の改善を示すか検討を行う。
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