2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈ドリコエクタジアの病態解明―抗血栓療法のジレンマの解消を目指して
Project/Area Number |
25893185
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 誠 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (90530147)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 / 臨床 / 分析科学 / 病理学 / 国際情報交換 / 国際研究者拘留 |
Research Abstract |
国際臨床試験SPS3参加症例のMRI画像を解析し,頭蓋内主幹動脈の最大血管径を測定した.脳動脈ドリコエクタジアの有病率,背景因子および予後との関連を解析した.この結果,椎骨・脳底動脈のドリコエクタジアや血管径拡張は,その後の脳血管イベントとは関連がなかったが,死亡率と有意に関連することが明らかとなった.皮質下小梗塞患者における頭蓋内動脈拡張の臨床的意義を明らかにしたことは,大変重要なことと考えられた.以上の結果をアメリカ脳卒中学会において発表した.英語論文を学術雑誌に投稿中である. またDICOM画像解析ソフトQUANTOMOと用いて,全症例の脳梗塞体積を測定し,さらに梗塞の形状を評価した.これらの梗塞体積や梗塞の形状と背景因子,予後との関連を解析した.梗塞体積は発症3ヵ月後の機能予後と密接に関連していたが,梗塞体積や形状は脳血管イベント発生の独立した予測因子とはならなかった.皮質下小梗塞患者多数例での梗塞形状・体積の意義に関するこのような検討は過去になく,臨床上貴重な知見であると考えられた.これらの結果は共同研究者によりアメリカ脳卒中学会で発表された.英語論文は現在学術雑誌に投稿中である. さらに同ソフトを用いて,ドリコエクタジアとの関連の深い大脳白質病変体積も全症例で測定した.白質病変体積は,頭蓋内体積によって異なることが予想されるため,これを補正するために頭蓋内体積も測定した.これらの梗塞病変や白質病変体積とドリコエクタジアの関連については,現在統計専門家に解析を依頼しているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,SPS3参加症例の画像解析を行い,学会および論文で発表した. 次年度は,わが国の脳梗塞症例におけるドリコエクタジアの解析,およびSPS3参加症例との比較検討を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
熊本における急性期ラクナ梗塞症例を対象として,ドリコエクタジアの有病率,背景因子や予後との関係を検討する予定である.わが国においては,欧米人に比して頭蓋内血管系が全体的に細いと考えられるため,同一の基準を用いた場合ドリコエクタジアの有病率が極端に低い可能性もある.このため,カットオフポイントを用いるほか,血管系の絶対値の比較も行うことも検討している.
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