2013 Fiscal Year Annual Research Report
被災地で救援活動を行う医療者に対するストレス負荷訓練の開発
Project/Area Number |
25893210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
野島 真美 高知県立大学, 看護学部, 助教 (50712569)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | ストレス / 環境因子 / 仲間 / 隊員 / 自衛隊 / 海上保安官 / 高度救助隊 |
Research Abstract |
本研究では、救援活動を行う医療者のストレス要因を明らかにし、ストレスによる生体反応について分析を行い、他職種で行われている訓練やストレスマネジメントから示唆を得た上で、新たな災害訓練プログラムの原案を作成することにより、震災時に派遣される医療者のストレスを軽減することが期待できると考えた。そこで、災害発生直後に、被災地へ派遣される医療者のストレスの実態を明らかにするために、文献検討や研修会・学会への参加を行い、ストレス要因として「環境因子(臭い・音)」「トリアージを行うことのストレス」「被災者の家族への対応」等が明らかになった。また、他職種におけるストレスマネジメントやストレス負荷訓練から災害看護への示唆を得るために、海上保安官・自衛隊・高度救助隊へ研究協力を行い、インタビューおよび訓練見学を行った。結果、若い隊員は救援活動時に医療者と似たようなストレス因子(音・臭い・家族や第三者からの罵声)を感じていた。しかし、経験者が感じているストレスとしては、「訓練の成果がチームとして発揮できなかった時」「仲間の怪我や殉職」といった、個人ではなくチーム全体として捉えるストレスへと変化していた。これは、日常の訓練をチームとしてこなしていく上で、「仲間意識」や「連帯感」が生まれてくるためではないかと感じた。また、自衛隊員のインタビューをカテゴリー化すると「助け合う文化」「仲間を見捨てない文化」が導きだされた。これらの結果を考察すると、救援活動を行う隊員が最もストレスを感じる要因は共に活動する隊員ではないかと考えた。つまり、日常訓練からあまり関わりの少ない隊員と現場で活動する際が、お互いのことを良く理解できないため、不安や緊張が高まり、普段の成果を発揮できずストレスを感じやすくなるのではないかと考え、次年度ではこの要因と文献検討や研修会で得られた要因に焦点を当て、プログラムを作成していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は研究協力施設の選定と承諾を再重要課題としていたが、実際には訓練見学や隊員へのインタビューも僅かではあるが行えており、インタビュー結果から分析も進んでいる。しかし、インタビュー数が少なく、結果に整合性が導き出せていないため、今年度はインタビューの数を増やし、隊員の経験年数や年齢に偏りがでないように検討していく必要がある。また、訓練見学についても平成25年度は5回程度行えていたが、本来の学務との両立が難しく、研究協力施設との調整に難渋した。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー数が少ないため、今後は隊員の経験年数や年齢など様々な要因を加味し、インタビュー数を増やし、データの整合性を考えていく必要がある。また、訓練見学についても、学務との両立が厳しく、研究協力施設が提示してくださる訓練を見学できない状況があった。今後は研究協力施設との連携を密にし、効果的な訓練見学を行っていく必要がある。また、今まで得られたインタビューや訓練見学での成果を学会で発表し、多くの方から助言をいただき洗練化を行い、プログラム作成への示唆を得る必要がある。
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