2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病性歯槽骨吸収に対する新規予防・治療法の開発を目指した基礎研究
Project/Area Number |
25893241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
秋山 智人 昭和大学, 歯学部, 助教 (90710319)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | p.gingivalis / OPG / gingipain |
Research Abstract |
KgpによるOPGの分解・不活性化メカニズムと破骨細胞形成における意義の解明のため、N末端蛍光標識OPGを調製した。FITCなどのアミノ基修飾型の蛍光色素とOPGをpH 8以下で反応させ、N末端アミノ基を優先的に標識した後、標識産物をゲルろ過あるいは分子量分画遠心フィルターを用いて精製した。N末蛍光標識OPGをKgpと反応させる。Kgpは、それ自身は破骨細胞分化に影響しないZ-FK-ckにより失活させる。Kgp未処理およびKgp処理後の蛍光標識OPGを活性型ビタミンD3で刺激した骨芽細胞に添加し、細胞への結合を蛍光顕微鏡で観察した。結果Kgp未処理のものに比較し、Kgp処理後のものは蛍光標識OPGが不活化されることが確認できた。また、P. gingivalis感染動物モデルを確立し、Kgpの役割を組織化学的に明らかにするためにkgp遺伝子欠損および野生型P. gingivalisをマウスあるいはラットの頭蓋骨膜下に注入し、実験的感染性骨吸収を誘導する。骨吸収をμCTで定量的に評価するとともに、組織切片のHE染色および破骨細胞特異的TRAP染色を行い、組織化学的に破骨細胞形成を評価し、P. gingivalis感染歯槽骨破壊モデルを確立するとともに、骨吸収におけるKgpの役割を証明した。現在変異型のOPGを作成するためのベクターを製作しており、in vitroにおいてKgpによる分解および破骨細胞抑制能を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画における課題のうち、FITCラベルによるOPGの機能解析が終了し変異タンパク作成用ベクターについては3種類のベクターの作成が終了した。 また、その機能解析も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Kgp耐性組換えOPGの歯周病性歯槽骨破壊に対する抑制効果の検証のために以下の研究を行う。 ① RANKL阻害活性を保持したKgp耐性組換えOPGを調製するために前年度の研究で得られたKgp耐性組換えOPGからRANKL結合能および破骨細胞分化抑制活性を保持した組換えOPGを選択する。前年度と同様、変異および野生型OPGのN末蛍光標識体を調製し、RANKL結合実験を行う。RANKL結合能を有する変異体および野生型のOPGを骨芽細胞・骨髄細胞共存培養系に添加し、破骨細胞分化抑制能を有する変異OPGを選択する。選択された変異OPGを大量に調製する。 ② P. gingivalis感染動物モデルを確立し、Kgpの役割を組織化学的に明らかにするためにkgp遺伝子欠損および野生型P. gingivalisをマウスあるいはラットの歯肉溝に注入し、実験的感染性歯槽骨吸収を誘導する。歯槽骨吸収をμCTで定量的に評価するとともに、組織切片のHE染色および破骨細胞特異的TRAP染色を行い、組織化学的に破骨細胞形成を評価し、P. gingivalis感染歯槽骨破壊モデルを確立するとともに、歯槽骨吸収におけるKgpの役割を証明する。 ③ Kgp耐性OPGのP. gingivalis歯肉溝感染マウスモデルにおける骨吸収抑制作用を解析するために②のkgp遺伝子欠損および野生型P. gingivalisを歯肉溝に感染させたマウスあるいはラットモデルに①で調製したKgp耐性OPGあるいは野生型OPGを静脈内投与あるいは局所投与し、②と同様に、歯槽骨吸収および歯槽骨における破骨細胞形成を比較解析する。これにより、Kgp耐性OPGの歯槽骨吸収予防効果を評価し、Kgp耐性が持つ重要性を証明する。
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