2013 Fiscal Year Annual Research Report
リードスルー作用を有するネガマイシンを基盤としたナンセンス変異疾患治療薬創製研究
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25893258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田口 晃弘 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (40707311)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | リードスルー / ネガマイシン / デュシェンヌ型筋ジストロフィー / 創薬化学 / 抗生物質 |
Research Abstract |
平成25年度は、ネガマイシンより高いリードスルー活性を有しているTCP-112(TGA 比活性4.51)を基盤とした構造活性相関研究を実施することで、更なる活性を有する誘導体の創製を図った。TCP-112における各官能基の重要性を精査し、活性向上に繋がる要素を探索した。具体的には、TCP-112のヒドラジンユニット、5 位アミノ基の誘導化を行った。ヒドラジンユニットでは、カルボン酸部位をエステル化、アミド化などの誘導体を合成、評価することで最適化を検討した結果、エステル型誘導体においてTCP-112よりも高いリードスルー活性を有する誘導体を幾つか獲得することに成功した。一方で、5位アミノ基への誘導は、アルキル鎖や天然型アミノ酸を縮合したトリペプチド型誘導体を検討したが、高活性誘導体の獲得には至らなかった。 すでに、誘導体のリードスルー活性を効率的に評価できる培養細胞評価系の構築に成功し、活性評価を行っている。しかしながら、ネガマイシン誘導体は高極性な分子であるため細胞膜透過性が低い可能性が考えられる。そのため、リードスルー活性評価系の充実を図るべく、細胞膜透過性を考慮しない無細胞タンパク質合成系構築の検討も25年度実施した。検討の結果、ネガマイシンおよびTCP-112のリードスルー活性が培養細胞評価系と同様に検出できた。この結果から無細胞タンパク質での評価系を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度では、1)リードスルー活性に重要な構造因子の同定、2)無細胞タンパク質合成系におけるリードスルー活性評価系の構築、の2点を研究計画として挙げた。1)に関しては、既に獲得している高活性な誘導体TCP-112の化学構造を基盤とした構造活性相関研究を実施し、活性発現に重要な構造因子を模索した。TCP-112のヒドラジンユニットおよび5位アミノ基の誘導化を重点的に実施した結果、5位アミノ基の誘導化では、優れた活性を有する誘導体の獲得には至らなかったが、エステル型誘導体においてTCP-112よりも高いリードスルー活性を有する誘導体を幾つか獲得することに成功した。また、3位アミノ基への誘導化では、天然アミノ酸などの導入により高活性に繋がる手がかりを見出しており、活性発現に重要な官能基を同定した。 また、2)に関しては、検討の結果、培養細胞評価系と同様にネガマイシンおよび誘導体の活性を検出することに成功し、新たな評価系の構築を達成した。本評価系により、誘導体のリードスルー活性評価系が充実したことに加え、細胞膜透過性を考慮せず、合成誘導体の活性を直接評価することが可能となった。25年度で計画した、高活性な誘導体の獲得および無細胞タンパク質評価系の構築が達成されたことから、おおむね進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、TCP-112の3 位アミノ基における構造活性相関研究を実施する。即ち、TCP-112 の構造を基盤とし、3 位アミノ基にカルボン酸ユニットを導入し、高活性誘導体の獲得を目指す。この誘導化により疎水性相互作用および空間的情報を把握する。これら情報を基に非天然型アミノ酸などの導入へと繋げる。TCP-112 の3 位アミノ基に種々のユニットが導入可能な合成経路の確立に至っており、複数の誘導体合成が完了しており、高活性に繋がる手がかりを見出している。 今後は、これら誘導体の活性評価を実施する。また、平成25年度で獲得したエステル型誘導体を無細胞タンパク質合成系でも評価し、リードスルー活性発現に重要な化学構造の抽出を図る。 得られている高活性誘導体についてはリードスルー活性以外の評価も実施する。抗菌活性試験も実施し、ネガマイシンが有するリードスルー活性と抗菌活性との薬効分離が図れているかを確認する。また、培養細胞を用い誘導体の細胞毒性も併せて実施し、毒性発現の有無も確認する。 高活性かつ低毒性な誘導体については、東京大学松田良一教授にご協力いただき、リードスルー活性評価用マウス(トランスジェニックマウス)にてリードスルー活性発現を評価する。活性が認められた誘導体は、本疾患モデルマウスであるmdxマウスにおいて免疫組織学的、生化学的評価を実施する。ジストロフィンタンパク質発現を抗ジストロフィン抗体免疫染色にて確認後、その発現量をウェスタンブロットにより算出する。また、筋崩壊の指標である血清クレアチンキナーゼ値の測定、投与マウス群の体重減少率を算出し、医薬品候補化合物の創製を目指す。
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Research Products
(2 results)