2013 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計に着目した大麻惹起性精神障害の病態解明と治療法への応用
Project/Area Number |
25893282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
池田 恵理子 第一薬科大学, 薬学部, 助教 (10708431)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 大麻 |
Research Abstract |
大麻主成分であるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)は、抑うつや不定愁訴などの精神障害を引き起こし、これらの精神障害は断薬時の退薬症侯として表れ、大麻に対する精神依存を更に強化させることが知られている。しかしながら、それらの精神障害発症メカニズムや原因因子は依然として未解明のままであった。一方、近年の疫学研究から体内時計の異常と精神疾患発症との関連性が指摘されている。これらの研究背景をふまえ、本研究では、Δ9-THC惹起性精神障害の発症と体内時計の機能異常との関連性を明らかにし、Δ9-THC惹起性の精神疾患に対する新たな治療標的分子を同定することを目的とし、本年度は以下の検証を行った。 Δ9-THC(1mg/kg, 10mg/kg)を3週間腹腔内投与したマウスにおいて自発行動量の日週リズムを測定した。その結果、投与量依存的に行動リズムの異常が認められた。そこで、行動制御に関わる遺伝子の発現リズムが高値を示す時刻において発現量を測定したところ、vehicle群と比較し有意な差異は認められなかった。また、同時刻における時計遺伝子の発現量を測定した結果、vehicle群と比較し、減少傾向であることが確認された。また、神経細胞にΔ9-THCを曝露し、各遺伝子の発現量変化を測定した結果、用量依存的に増加あるいは減少することが確認された。これらの結果から、Δ9-THC慢性投与マウスにおいて認められた行動リズムの異常は、時計遺伝子の発現量変化を介して生じている可能性が示唆された。今後は、精神障害に関連する遺伝子の候補を広げ、それらの遺伝子の発現リズムの変容と精神障害との関与について解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Δ9-THC投与により体内時計の変容を示唆する結果は得られたが、至適投与量の決定などに時間がかかってしまい、各時計遺伝子の発現リズムの変容に関する結果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画に関して変更はない。今後は、精神障害に関する因子の同定を早急に行う必要がある。そのため、マイクロアレイなど網羅的解析の手法を用いてスピードアップをはかり検証を行っていく。
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