2013 Fiscal Year Annual Research Report
高校生スプライト観測ネットワークを発展させるための観測測器の展開と連携
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25909061
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Research Institution | 防衛省 |
Principal Investigator |
鈴木 智幸 東京学芸大学, 教育学部, 研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スプライト / 中和電荷位置・量 / 電界観測教材 |
Research Abstract |
スプライトは、落雷によって雷雲内から大きな正電荷が中和される際に副次的に、高高度(成層圏から電離圏下部)で発生する放電発光現象であり、高校生がカメラ観測ネットワークによる観測を行っている。一方で、スプライトの発生は、雷雲内の「電気」が原因であり、現象全体を理解するためには積乱雲と電気といった多面性に注目する必要がある。このため、高校生スプライト観測ネットワークをより発展させるために必要な教材を開発、多数の高校に展開し、その問題点及び改善点、並びに教材(データ)の高校教育への活用方法の検討を目的とする。 本研究では、雷雲内の「電気」と高校電磁気学とを結びつけるために必要な静電界観測教材を作成し、スプライトの発生原因となる落雷や雷雲が上空を通過する際に生じる静電界変化を自動かつ連続観測する。東京都下の高校に5~10㎞離して多数展開することにより、雷雲下での静電界分布マップや落雷に伴い中和される中和電荷量推定を可能とする。また、多数の教材展開を視野に置き、計測用コンピュータをLAN経由でのリモート制御可能なものとする。教材が出力する地上電界観測データを気象データやスプライトの観測データと組み合わせることで、現象の多面性理解につなげるための資料を作成し教育に活用する。さらに、スプライト観測に参加している高校生に連携を呼びかけることで、高校生同士の議論が活発化することを狙う。 25年8月から都下の高校1校に教材を展開、観測を開始し、約8ヶ月間の連続観測を行った。この間、雷雲通過時の地上電界観測に成功した。これらの成果と気象庁が配信している気象レーダー画像とを対応させ、雷雲と雷雲通過時の地上電界がどのような対応関係にあったのかについて、教材を展開した高校の生徒への説明やスプライト観測を行っている高校生への講演時に紹介した。その結果、現象の多面性理解の必要性について認識してもらうことができたと考える。一方で、実展開によって、次のような観測上の改善点も明らかとなった。(1)電源の確保等の設置環境を整えることが難しいため、電源には太陽電池パネル等を用いることが望ましい。(2)静電センサは、風雨対策用ケース開口部までセンサ面を出す必要があり、風雨対策との両立のため、半密封式に変えることが望ましい。
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Research Products
(4 results)