2016 Fiscal Year Annual Research Report
リピート結合分子をプローブとしたトリヌクレオチドリピート病の化学生物学研究
Project/Area Number |
26000007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 和彦 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70237303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂野 主税 大坂大学, 産業科学研究所, 准教授 (60420395)
村田 亜沙子 大坂大学, 産業科学研究所, 助教 (50557121)
中森 雅之 大坂大学, 医学研究科, 特任助教 (60630233)
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Project Period (FY) |
2014 – 2018
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Keywords | トリヌクレオチドリピート / 小分子 / プローブ / 伸長抑制 / RNA機能調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我々の開発するトリヌクレオチドリピート結合分子を用いて、リピート伸長とリピートRNAの機能を低分子で調節する化学を拓き、トリヌクレオチドリピート病の新しい治療法開発に資する創薬リード化合物の創製を目指して、以下4つの研究項目、1) リピート結合分子の性能向上と創製、2) 結合分子のリピート不安定化誘導と分子機構の解明・短縮分子探索、3) 結合分子によるToxic RNAの捕捉、4) RAN Translationの分子機構解明と低分子による調節原理導出、を実施する。 平成28年度は、研究項目1) に関して、前年度に引き続き、CTG、CUGリピートを標的とする、アミノピロロキノリン、および、アミノフェナンスロリン誘導体、さらにそれらの2量体を種々合成しそれらの構造活性相関を調べた。また、ジアミノイソキノリン誘導体についても、構造活性相関研究を実施した。環状二量体(CMBL)のミニライブラリーを構築し、共同研究者により種々のリピートに対する結合並びに生物活性評価を進めた。研究項目2-1)では、これら合成リガンドのリピートDNA、RNAに対する結合選択性・親和性の評価を、in vitroのレポーターアッセイ系で調べるとともに、化合物NAでは、ハンチントンマウスモデルを用いてリピートの短縮効果を検証した。研究項目3)に関しては、前年度に引き続き、SPR法によるRNA結合評価、筋強直性ジストロフィー(DM1)モデル細胞を用いたスプライシング異常軽減効果を調査した。さらに、リピート結合分子によるリピート短縮効果のより迅速な評価系開発を念頭に、PCRに基づいたリピート短縮現象の明示化を基本原理とするアッセイ系構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、我々の有するNA, NCDを基盤とした多様なリピート結合分子の合成に加えて、これまでに取り組んでいなかったアミノピロロキノリン、アミノフェナンスロリン、さらに、ジアミノイソキノリンの誘導体など、新しい分子構造を持つ化合物群についても研究を進展させることができた。これらの化合物の中で、特にアミノフェナンスロリンの2量体がCUGリピートに対して結合すること、さらに、スプライシング異常を改善する効果を示すことなどを新たな知見として得た。また、従来のSPR法による結合解析に加えて、より直接的にリピート伸長や短縮効果を調べる手法として、PCRに基づく伸長、短縮リピートの増幅により、簡便に評価するアッセイ系の構築を進め、手応えを得ている。CUGを選択的に認識する分子については、CCGリピートなどピリミジンミスマッチとの選別がまだ不十分であるが、概ね計画通りに進行していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
1-1) CGGリピートへの高い結合親和性を示すNCTの細胞毒性低減については、毒性のメカニズムが不明なまま構造活性相関での情報取得を目指していたが、効果的な手法ではないことなどから、毒性低減への取り組みは一旦中断することとした。1-2, 3, 4)これまでの進めてきた塩基認識部位であるヘテロ芳香環の拡張、あるいは、二量化、四量化したリガンドなど、分子設計の幅を拡張して、多様な分子骨格を持つリガンドの合成を引き続き行うとともに、共同研究者により多様なリピート配列に対しての結合並びに生物活性評価スクリーニングを併用して、親和性の高いリガンドとリピートのコンビネーションを見出すことに注力する。アミノフェナンスロリンの二量体であるDDAPがCUGリピート、三環性のアミノナフチリジン誘導体がCCGリピートに対してそれぞれ結合することを見出しているので、本化合物のさらなる親和性向上なども検討する。従来のリピート結合分子を環状二量化した誘導体CMBLは、その構造と結合選択性に従来の化合物にはない特徴を示すデータが得られており、すでに作成したミニライブラリーを用いたスクリーニングを進めていく。本項目で得たリガンドは、項目2)、3)の詳細な結合評価とおよび細胞を用いた評価を行い、さらに構造活性相関研究を進める。 3-1) 平成28年度までに準備を進めてきた長鎖のリピートRNAとリピート結合分子のSPRによる結合評価を順次進めていくとともに、新たに構築したPCRを基盤とするリピート伸長、短縮効果を評価するアッセイ系の信頼性を向上させ、大規模なライブラリー探索に使える技術とする。分担研究者の中森が持つスプライシング異常の低減を評価するアッセイ系を併用して、PCR法による評価の信頼性を確認する。項目3-2)のtoxic RNAとMBNL1タンパク質との相互作用に関しては、MBNL1の大量調製できる状況にあり、合成したリピート結合分子がMBNL1と競合してリピートRNAに結合するかどうか、検討を進める。 RANトランスレーションについては、リピートRNAが形成するヘアピン構造にリガンドが結合することにより、RNA上での翻訳機構を調節することができるという知見を得たので、この知見をもとにRANトランスレーションの効率をリピート結合リガンドが調節するかどうかを調べる予定である。
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[Journal Article] Development of 2, 7-Diamino-1, 8-Naphthyridine (DANP) Anchored Hairpin Primers for RT-PCR Detection of Chikungunya Virus Infection2016
Author(s)
Chen, H. ; Parimelalagan, M. ; Takei, F. ; Hapuarachchi, H. C. ; Evelyn Siew-Chuan Koay, E. S. -C. ; Ng, L. C. ; Ho, P. S. ; Nakatani, K. ; Chu, J. J. H.
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Journal Title
PLOS Negl. Trop. Dis
Volume: 10
Pages: e0004887
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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