Project/Area Number |
26000010
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 義昭 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (50183885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種村 拓夫 東京大学, 大学院工学系研究科, 准教授 (90447425)
杉山 正和 東京大学, 大学院工学系研究科, 准教授 (90323534)
小関 泰之 東京大学, 大学院工学系研究科, 准教授 (60437374)
肥後 昭男 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (60451895)
|
Project Period (FY) |
2014 – 2018
|
Keywords | 集積フォトニクス / 光集積回路 / 半導体 / アダプティブ / モノリシック / 光波合成 / ユニタリ変換 / 偏波制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 量子井戸型偏波制御器の設計と試作 光波合成回路上での偏波状態制御を実現するハーフリッジ型偏波制御器の効率改善に向けて, InGaAlAs/InAlAs量子井戸構造を導入した新規構造を設計し, 素子の試作を行った. その結果, 量子井戸層におけるバンドフィリング効果を用いることで, 非常に効率良く偏波依存位相制御が得られることを実証した. (2) 偏波解析素子の設計と試作 (1) の偏波制御器を多数集積して駆動する上で, チップ内の各導波路における光の偏波状態を正確にモニタする技術が必要になる. そこで, ハーフリッジ型導波路構造を用いた偏波アナライザ集積素子を新たに提案した. 原理検証のため, まず受動回路部を試作し, 設計通りに機能することを実験的に確認した. (3) 5×5光波合成チップの設計と試作 前年度に開発したウェットエッチプロセスによる垂直結合器の試作結果をもとに, 5×5光波合成チップの設計と試作を行った. 有限差分時間領域法とフーリエ光学解析により遠視野像を計算し, 十分な特性を得るためのアレイピッチと回路レイアウトを抽出した. ドライエッチングによる導波路形成とウェットエッチングによる垂直結合器の形成を組み合わせたプロセスを構築し, 素子を完成させた. 現在試作した素子の評価を進めているところである. (4) 4×4ユニタリ変換チップの設計 大規模ユニタリ変換チップの実現に向けて, まず, 4×4ユニタリ変換チップを設計した. 当初は, 2×2可変カプラを多段に接続する方法を検討していたが, ポート数拡張に伴って光損失が増大することが明らかになったため, 干渉計型光カプラを用いた新規手法を提案し, 検討を進めている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度中に目標としていた偏波制御器の高性能化, および, 能動光素子とのモノリシック集積化については, 基盤技術の開発が完了し, 概ね予定通りである. また, 垂直結合器についても, ウェットエッチプロセスによる構造の最適化とプロセス条件の抽出が完了し, 5×5光波合成素子の試作を完成している. 評価を進める状況であり, 順調に計画が進んでいる. 一方, ユニタリ変換素子に関しては, 当初予定していた方法では損失が大きくなることが分かり設計の見直しが必要となったものの, 干渉計型カプラを用いた代替案により実装できる見込みが立っている. 当初予定に比べて設計に時間がかかっている一方で, 再検討の結果, 素子の構造が簡略化されたため, 今後, 試作が順調に進むと見込んでいる. さらに, 大規模光回路の完成を見こして, 平成27年度中に多チャンネル任意波形発生・増幅装置を導入し, 駆動回路の検証を開始している. 以上の結果として, 平成28年度以降, 各種大規模光回路の試作から評価までのプロセスを円滑に進められる環境が整っている.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に, 量子井戸層を導入することで偏波制御器の効率が大幅に改善することを実証した反面, 受動素子部の機能に影響が生じてしまうことが明らかになった. 能動素子部と受動素子部の層構造をそれぞれ最適に設計する必要があるが, これまでに開発したオフセット量子井戸手法では, 光の閉じ込め係数が小さくなり, 所望の特性が得られない可能性が判明した. そこで今後は, オフセット量子井戸手法と併せてバットジョイント再成長法を検討し, 能動素子と受動素子のモノリシック集積を目指す. 垂直結合器に関しては, ウェットエッチングプロセスによる45°ミラーをリッジ光導波路と集積することで二次元アレイが作製できることが明らかになったので, 今後, 本手法を拡張することで大規模な光波合成素子の実現を目指す. 一方, 石英ガラス三次元光導波路チップを用いる方法については, 入力用光ファイバ, InPチップ, 石英チップの3者の光軸を同時に合わせることが予想以上に困難であることが判明し, InPチップの設計見直しを行っている. 位置合わせを容易にするため, 光増幅器を導入した新規素子を試作し検討を進めている. 今後, 上記2通りの結果を比較しながら最適な手法を選定し, 大規模光波合成回路を完成させる. ユニタリ変換素子に関しては, 新規に提案した干渉計カプラを用いた構造の最適化を行い, 素子の試作検証を進める予定である. 平成27年度までに, 電子線描画装置と高密度プラズマエッチング装置を前倒しで導入し, プロセス条件の最適化を行ったことで, 大規模InP光集積回路の作製プロセスは既に確立しており, 素子の試作は順調に進められる見込みである. 以上により試作した光波合成回路およびユニタリ変換回路の評価にあたっては, 平成27年度に購入した多チャンネル任意波形発生・増幅装置を用いる. 各電極の駆動条件の最適化を行う自動システムを構築することで, 各種回路の評価を効率良く行う予定である.
|