2015 Fiscal Year Annual Research Report
災害文化形成を担う地域歴史資料学の確立―東日本大震災を踏まえて―
Project/Area Number |
26220403
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
奥村 弘 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60185551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古市 晃 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (00344375)
今津 勝紀 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20269971)
伊藤 昭弘 佐賀大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20423494)
佐々木 和子 神戸大学, 地域連携推進室, 地域連携研究員 (20437437)
内田 俊秀 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (30132822)
久留島 浩 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 館長 (30161772)
市澤 哲 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30251862)
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40200521)
高橋 修 茨城大学, 人文学部, 教授 (40334007)
三村 昌司 東京未来大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40525929)
胡 光 愛媛大学, 法文学部, 教授 (50612644)
町田 哲 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60380135)
天野 真志 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (60583317)
松下 正和 近大姫路大学, 教育学部, 講師 (70379329)
白井 哲哉 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
阿部 浩一 福島大学, 行政政策学類, 教授 (70599498)
小林 准士 島根大学, 法文学部, 教授 (80294354)
板垣 貴志 島根大学, 法文学部, 准教授 (80588385)
平川 新 宮城学院女子大学, 学芸学部, 学長 (90142900)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 地域歴史資料学 / 災害文化 / 東日本大震災 / 災害資料 / 史料保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、茨城・福島にて被災地フォーラム「自然災害に学ぶ 茨城の歴史」を開催した。このフォーラムは、東日本大震災の現状把握と中間まとめを目的とし、茨城・福島での被災資料保全と震災記録保全の現状と課題について議論を行った。また同フォーラムでは、2015年関東・東北豪雨災害の水損資料保全についての現状と課題についても議論した。 主催の国際会議として、神戸及び仙台を会場に、イタリアの研究者を招聘した国際会議「文化財防災体制についての国際比較研究」を開催した。この国際会議では、イタリアで構築運用されている文化財危険地図について理解を深めるとともに、日伊の文化財防災体制や災害文化のあり方について比較研究の視点から議論を行った。 さらに、独立行政法人国立文化財機構に協力して、国立文化財機構アソシエイトフェロー研修を福島大学・東北大学で開催した他、同機構及び第2回全国史料ネット研究交流集会実行委員会が主催した「第2回全国史料ネット研究交流集会」に共催した。これらを通して、阪神・淡路大震災以降の資料保全及び地域歴史資料論の展開と東日本大震災の現状と課題について議論を行った。 地域歴史資料学の研究成果としては、主催の研究会を2度開催した。また、東日本大震災被災地をはじめ、関東・東北豪雨災害被災地などにおいて、分担者・協力者による被災歴史資料調査保全を実施・支援した。その実践的な災害対応を踏まえて、フォーラムや研究会等で災害時の資料保全論の検討を行った。さらに、阪神・淡路大震災以降の災害資料研究の蓄積を踏まえて、東日本大震災被災地の関係団体などと災害資料の収集保全・活用などについて議論を深めた。その他の研究活動としては、阪神・淡路大震災以降の地域歴史資料保全に関するデータ整理を進めたほか、市民と協同した地域歴史資料の保全・活用実践事例の調査(主に兵庫県淡路市)などの研究を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の発生によって、この震災に関わる現状と課題への対応が継続している。この大災害への対応及び阪神・淡路大震災以降の資料保全及び地域歴史資料論の展開を通して、資料保全活動の全国的な広がりや、災害資料保存に対しての認識をより深めた。その成果として、代表者が岩波講座『日本歴史』に論文を発表するなど、研究成果が想定以上に展開した。また、常総市での水害に対する研究の実践的な対応についても大きな成果が得られた。さらに、その現状と課題について整理し、国立文化財機構の文化財防災推進事業に、その成果を反映させることができた。 また、平成26年度のイタリア文化財防災等についての視察調査・意見交換の成果を踏まえ、今年度はイタリアの研究者を招聘して、日伊の文化財防災に関する国際会議を開催した。この国際会議では歴史学・保存科学分野のみならず、自然科学や建築学など他分野の専門家等を交えて、資料保全及び文化財防災に関する国際比較研究を行い、その成果を体系化し報告書として公表した。この成果を踏まえ、文化財防災体制の構築を歴史文化・災害文化形成において位置づけていくための調査・検討をさらに進めていく予定である。以上のことから、当初計画以上の進捗を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、新たな地域歴史資料学について中間的な試案の提示を行うための研究を進める。また、熊本地震への対応を図り、そこから得られた知見を研究に組み込む。 全体としては、東日本大震災のデータを基礎にこれまでの研究成果を踏まえ、今後想定しうる海溝型地震について、津波と広域災害に関する歴史資料防災の研究を進める。そのため12月に四国(愛媛)においてフォーラムを開催する。また、中越地震以降、災害時の広域対応や災害史研究の蓄積をもつ新潟において、災害史研究と資料保全論を結合する中間まとめのシンポジウムを開催する。総括研究会では、これを踏まえて海溝型地震と広域災害についての学術的な検討を行う。 昨年度に開催した国際会議の成果を踏まえ、文化財防災体制の構築を、歴史文化・災害文化形成に位置づけていくために、本科研組織の保存科学・歴史系博物館連携グループを中心に調査・検討を進める。 本研究では、東日本大震災で被害を受けた歴史資料を効果的に保全していくための経験と、そこから析出された方法論を研究に反映させていくために、阪神・淡路大震災以降の被災歴史資料をとりまく状況についてのデータ収集を継続して行う。さらに研究分担者を中心に、保存科学研究者や博物館関係者等と協力して、資料の科学的な保存方法を地域歴史資料学に組み込むための研究や、地域歴資料の活用に関する実践的・方法論的研究も継続して行う。 災害資料については、アメリカ議会図書館、メリーランド大学、ハーバード大学等においてアーカイブの保存管理・公開活用等について視察調査を行う。また、阪神・淡路大震災・中越地震・東日本大震災被災地の関係団体・研究者等と、災害資料の収集保存・活用に関する方法論的研究を継続する。 神戸大学コアグループは、月2回程度の検討会を持ち、ホームページの充実、報告書等の発行を通して、研究成果に関する情報を国内外に発信する。
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Research Products
(65 results)
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[Presentation] 吉備真備の思想と軍略2015
Author(s)
今津勝紀
Organizer
姫路市歴史講座
Place of Presentation
姫路市市民会館大ホール(兵庫県・姫路市)
Year and Date
2015-06-15 – 2015-06-15
Invited
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