2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of Local Historical Materials Studies: Forming Disaster Subculture in the Post-3/11 World
Project/Area Number |
26220403
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
奥村 弘 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60185551)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 新 宮城学院女子大学, 一般教育部, 学長 (90142900)
天野 真志 国立歴史民俗博物館, 研究部, 特任准教授 (60583317)
阿部 浩一 福島大学, 行政政策学類, 教授 (70599498)
高橋 修 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (40334007)
白井 哲哉 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
久留島 浩 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 館長 (30161772)
三村 昌司 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (40525929)
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40200521)
内田 俊秀 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (30132822)
市澤 哲 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30251862)
古市 晃 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (00344375)
佐々木 和子 神戸大学, 地域連携推進室, 特命准教授 (20437437)
松下 正和 神戸大学, 地域連携推進室, 特命准教授 (70379329)
今津 勝紀 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20269971)
町田 哲 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60380135)
胡 光 愛媛大学, 法文学部, 教授 (50612644)
小林 准士 島根大学, 法文学部, 教授 (80294354)
板垣 貴志 島根大学, 法文学部, 准教授 (80588385)
伊藤 昭弘 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 准教授 (20423494)
|
Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
|
Keywords | 地域歴史資料学 / 災害文化 / 東日本大震災 / 災害資料 / 史料保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、年次計画に従って「災害文化を担う地域歴史資料学の国際比較と中間提示」に向けての研究を進めた。 全体としては、11月に神戸で国際シンポジウムを開催し、本研究のこれまでの国内的・国際的展開を踏まえ、グローバル化のもと、特に東日本大震災以降の地域歴史資料をとりまく現状と課題について国際的視点から検討し、地域歴史資料学の深化を図った。また12月には、災害時の広域対応や災害史研究の蓄積を持つ新潟で被災地フォーラムを開催した。このフォーラムでは前年度までの成果を踏まえて、地域歴史資料学と災害史研究の融合について、文献資料のみならず震災遺構保存や民俗学の知見など多様な領域を交えた議論を行った。さらに1月に岡山で開催された全国史料ネット研究交流集会では、本研究で得られた地域歴史資料の防災等に関する知見を踏まえ認識の共有を図った。 これらに加え、主催の地域歴史資料学研究会を4度開催し、災害アーカイブの日韓比較研究や文化財情報システムの日伊比較研究が進展し、この成果は上記国際シンポにも反映された。また、東日本大震災被災地をはじめ各地において、各分担者・協力者による被災歴史資料や災害資料の実践的研究を継続して展開し、資料保全論に関する成果を論文や研究会等で発表した。さらに本科研グループの保存科学・博物館連携班を中心として、前年度から開始した被災資料のカビ除去に関する科学的研究や、浸水シミュレーションの文化財防災活用研究を引き続き展開し、その中間的な成果が学会で発表された。また、新たに伊方原発関係一次資料の保全・整理を地元関係者の協力を得ながら展開し、原発問題を歴史的に検討する基盤の整備を進めている。 その他の研究活動としては、阪神・淡路大震災以降の地域歴史資料保全に関するデータ整理を進めたほか、市民と協同した地域歴史資料の保全・活用実践事例の調査などの研究を展開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の発生によって、この震災に関わる現状と課題への対応がなお継続している。また、その後も各地で地震・水害が継起しており、本研究ではこれらの災害への対応及び阪神・淡路大震災以降の地域歴史資料論の展開を通し、実践的研究のいっそうの進展と蓄積を図った。また、本科研研究で進めてきた東日本大震災を中心とする地域歴史資料論及び資料防災論の現状と課題について整理し、その成果を国立文化財機構の文化財防災推進事業に反映させ、資料保全活動の国内的広がりや日常時の資料防災の展開について、歴史文化関係の研究者や市民との間で認識を深め共有を図った。 これらの成果については、本科研の各研究者が積極的に学会や社会に成果を発信している。とくに研究代表者等を編者とする『地域歴史遺産と現代社会』を刊行し、神戸大学コアグループの分担者が執筆するなど、阪神・淡路大震災以降の地域歴史資料論の展開と東日本大震災以降の現代社会の課題を踏まえた中間的な成果を提示するなど、研究成果が想定以上に展開した。 さらに本研究のこれまでの国際的な研究交流を通して、平成29年度は国際シンポジウムを開催した。この国際シンポでは、東日本大震災以降の実践的研究の国内的展開を踏まえつつ、イタリア・アメリカ・韓国・台湾などの事例を通して、グルーバル化の下で世界的な課題となっている災害時の被災資料保全や災害資料保存活用について、国際的視点から検討し地域歴史資料学の深化を図った。なお、この成果を公表するための取りまとめを進めている。 以上のことから、当初計画以上の進捗を図ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、これまでの実践的・方法論的研究から得られた成果を取りまとめ、災害文化の形成を担う地域歴史資料学の確立を目指す。地域歴史資料学のこれまでの国内的・国際的展開を踏まえて、年度末には諸研究を総括し成果を公表する。また、災害文化形成に資する地域歴史資料学の社会的な役割について具体的な対応論の提示を行う。 全体としては、前年度までに得られた資料防災対策や広域対応論、災害史研究に関する成果を集中的に議論するため新潟でシンポジウムを行う。また、本研究から得られた諸成果を総括するため、関西にて総括フォーラムを開催する。 東日本大震災被災地をはじめ、Aグループ(各地での被災歴史資料研究)とBグループ(災害資料研究)を中心に、引き続き東日本大震災での地域歴史資料に関する実践的研究を進める。さらに、前年度から新たに展開している伊方原発関連資料の調査保全を進め、現代資料・災害資料の保存整理・活用に関する方法論研究を行う。そこから析出された方法論を阪神・淡路大震災以降のデータと結合するとともに、東日本大震災以降の新たな災害対応から得られた知見を組み込み、地域歴史資料学のさらなる豊富化を図る。Cグループ(保存科学・博物館連携研究)の分担者を中心に、保存科学研究者や博物館・図書館関係者等とも協力して、前年度に引き続き科学的な資料保存方法を地域歴史資料学に組み込む研究や、資料活用に関する研究も継続して行い、その集約を図る。 また、街づくりと関連させた現代資料の保存活用及び災害アーカイブについて独自の取組みを展開している韓国において、それらの現地視察調査を行い、前年度の国際シンポの成果と合わせて本研究に反映させる。 神戸大学コアグループは、毎月2回程度の検討会を持ち、各研究の展開を調整・集約するとともに、HPの充実、報告書等の発行を通して、研究成果を国内外に積極的に発信する。
|
Research Products
(78 results)