2016 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of intense isolated attosecond pulses and their application to attosecond electron dynamics measurement
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26220606
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
緑川 克美 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 領域長 (40166070)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 量子エレクトロニクス / レーザー工学 / アト秒科学 / 非線形光学 / 超高速光科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、同時に複数の電子が励起状態にある多電子励起状態の観測をターゲットとしてHe原子の2電子励起状態のアト秒計測のためのシミュレーションモデルを開発した。このモデルでは、2電子の偏角運動や回転運動を観測する手法として、励起状態からのXUV光を用いことを新たに提案している。シミュレーションの結果では、パルス幅600fs、光子エネルギー約30eVのXUV光を10^15W/cm^2の強度でHe原子に集光し2電子励起した後、それと同じXUV光のプローブパルスの遅延時間を変えながら波長40.8eVのXUV光の変化を観測することにより、目標とする2電子の相関運動がサブフェムト秒の精度で得られることが明らかになった。さらに、この実験を実現するためには、新たなXUV多層膜鏡の開発も必要でるため、NTT AT社と協同でその開発を行った。シミュレーションコードでの計算をもとにAl/Zr多層膜鏡を作成し、その入射角を変化させて反射率を測定した結果、ほぼ当初の仕様を満たす結果が得られた。 一方、リング型共振器を用いた新しい超高繰り返しアト秒パルス光源を開発においては、共振器内に高次高調波発生のための集光光学系と希ガスジェットならびに高調波取り出しのための石英基板を設置し、Arガスを用いて21次までの高調波の発生を確認した。この結果は、レーザー共振器内高次高調波発生としては、世界初の成果である。また、平行してゼロフォノン励起のための969nm半導体レーザーの開発に着手し、その波長の温度依存性等でデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、単一アト秒パルスの高出力化および安定においては2波長および3波長励起レーザーシステムの開発が順調に進み利用実験に使える見通しとなったので、ターゲットとなるHe原子の2電子励起状態のシミュレーションモデルを開発し、観測に必要なアト秒パルスの指標が得られた。MHz級高繰り返しアト秒パルス光源の研究においては、当初の計画どおりArガスを媒質として高次高調波の発生を観測した。これは、レーザー共振器内での高次高調波発生の世界初の成功である。
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Strategy for Future Research Activity |
CEP安定化された高エネルギーチタンサファイアレーザーとOPAからの赤外光(シグナルおよびアイドラー光)をサブフェムト秒で安定化し同期されることにより、高エネルギー3波長励起システムとして動作し単一アト秒パルスの発生を行う。また、MHz級高繰り返しシステムでは、半導体レーザーの励起波長を969nmに変えてzero phonon領域での励起を行い、その性能を評価する。
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Research Products
(26 results)