2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26221101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 栄介 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60143369)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 寿命 / 発生 / 老化 / 細胞情報伝達機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
線虫において、飢餓ストレス、重金属ストレス、浸透圧ストレス、熱ストレスなどの種々のストレスが寿命に与える影響について詳細に解析した。また、ある一定の条件下で親世代が獲得した寿命延長形質が子世代に継承される現象を観察した。寿命制御におけるmiRNAの役割の解析を開始し、miRNAが寿命制御に一定の役割を有していることを明らかにし、さらに、その詳細な分子機構についての解析を開始した。また、線虫の寿命制御において、神経伝達物質の産生を担う酵素が重要な役割を有していることを明らかにした。ヒストンアセチル化酵素が線虫の寿命制御に密接に関与することを示し、その分子機構の解析を開始した。 アフリカツメガエルを用いた胚発生の実験において、低栄養によって活性化するタンパク質キナーゼAMPKのノックダウンが初期胚発生に対して阻害効果を有することを見出した。その分子機構の解析を開始した。アフリカツメガエルの発生過程における表皮分化を解析し、新たな転写調節因子並びに新たなタンパク質キナーゼの表皮分化における関与を明らかにし、それら2つの因子がどのようにして表皮分化を制御するかについて解析を行い、その基本メカニズムを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線虫を用いた寿命制御の研究においては、種々のストレスによる寿命延長条件の詳細な解析を行うことができた。また、親世代において獲得された寿命延長形質が子世代に継承される条件を検討し、ある程度の条件が明らかとなった。寿命制御において、miRNAが重要な役割を果たす可能性があることを示すことができた。また、神経伝達物質やヒストンアセチル化酵素の寿命制御における役割を示すことができた。 アフリカツメガエルを用いた初期発生の分子メカニズムの研究において、低栄養によって活性化するタンパク質キナーゼAMPKの関与を示すことができた。また、表皮分化の解析において、新しい転写調節因子と新しいタンパク質キナーゼの関与を明らかにし、その分子機構の基本を明らかにすることができた。 以上のように、線虫を用いた寿命制御の研究とアフリカツメガエルを用いた初期胚発生の研究の双方において、おおむね順調に研究は進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.線虫において、種々のストレスによる寿命延長の分子機構と獲得された寿命延長形質の次世代への継承について解析する。前年度に引き続き、飢餓ストレスを含む種々のストレスが寿命に与える影響を詳細に解析する。また、親世代が獲得した寿命延長の形質が子世代以降に継承されることを示す結果を得たので、その現象の解析を進める。 2.寿命制御における神経伝達物質の役割を解析する。前年度の結果から、「食餌があるとき」に放出される神経伝達物質の阻害、または「食餌のないとき」に放出される神経伝達物質の機能が寿命延長に役割を持つことが示されたので、その分子機構を解析する。 3.寿命制御転写因子DAF-16の発現を制御するシグナル伝達経路の解析を行う。前年度において、ヒストンアセチル化酵素がDAF-16の発現制御を介して寿命制御に関与することが示されたので、その分子機構を詳細に解析する。 4.初期発生を制御する栄養シグナル伝達の分子機構を解析する。脊椎動物の発生は、温度や栄養などの外因性因子によって大きな影響を受ける。前年度までに、低栄養によって活性化するキナーゼAMPKのノックダウンにより神経管閉鎖が阻害されるという結果を得たので、その分子機構を解析する。 5.表皮分化を制御するシグナル伝達経路を解析する。前年度までに、表皮分化を制御する新たな因子の同定に成功したので、さらに解析を進める。
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Research Products
(5 results)