2016 Fiscal Year Annual Research Report
Individual-based and automatic clustering of World Englishes and its application to assist international communication
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26240022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峯松 信明 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90273333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 武彦 中央大学, 経済学部, 教授 (00269482)
山内 豊 東京国際大学, 商学部, 教授 (30306245)
齋藤 大輔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (40615150)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 世界諸英語 / 国際コミュニケーション / 発音の地図化 / 発音クラスタリング / 発音の構造的表象 / 外国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在最も優勢な国際語は英語であるが,国際社会でそれが使われる場合,多くが非母語話者の発声であり,当然,母語の影響を受ける。その結果英語は,発音・文法・語選択・綴り・談話戦略に至る様々な面で多様化している(World Englishes, 世界諸英語)。本研究では発音の多様性に着目する。母語訛りと言われるが,訛りは話者の言語背景に起因し,また厳密には話者毎に異なる。そして,この訛りによってコミュニケーションはしばしば阻害される。本研究では,世界中の話者から英語音声を収録している海外の世界諸英語研究者と協力を図りつつ,1)話者を単位とした世界諸英語の自動発音分類,2)分類結果の可視化に基づく発音の地図化,3)構築したシステムの教育利用について検討している。 本年度は,自動分類及び可視化に不可欠な二話者間の発音距離推定について,特徴量ストリームの多次元化や,DNNによる事後確率計算に基づいて,分布形状を陽に仮定しない f-divergence 計算法を検討し,一定の成果を得た。この DNN による事後確率計算とそれに基づく f-divergence 計算は,発音距離推定以外のタスクでも検討され,言語識別タスクでもその有効性を示すことができた。更に,DNNによる事後確率化に関しては,非母語話者音声の評価(母語話者英語との類似性評価)というタスクにおいても実験的に検討され,従来の HMM 事後確率に基づく手法より優れた性能を得ることができた。教育利用という観点かはら,学習者が発声できない音素に対して,学習後にその学習者が当該音素生成に対して行なうべき調音運動を(構造表象の考え方に基づき)推定する手法を考案し,更には,語学EXPO2017という,外国語教育者が多く集う発表会で,これらの研究成果について,報告し,情報交換することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で技術的精緻化を検討している音声の構造的表象は,発音距離推定及び発音の地図化というタスクで一定の成果を出しているのみならず,学習者が未学習の音素に対して,当該話者の当該音素に対する調音運動を推定するタスクや,更には,言語識別タスクにおいても有効性を示すことができた。なお,研究発表するには至らなかったが,訛った音声に対する嫌悪感を,軽備ななセンサーの出力に基づいて推定する技術開発も進めている。これらは最終年度において従来の検討事項と統合できればと考えている。また,世界諸英語コーパスを構築している米国 George Mason University の Weiberger 教授を訪問し,これまでの研究成果を報告し,有意義な情報交換の場をとることができた。更にはオランダ,Groningen 大学の研究チームに,本研究室で開発したプログラムを提供するなど,国際交流も推進することができた。雑誌論文,国際会議,国内会議などの大概発表や,また,比較的小規模であるが国際ワークショップを開催することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるが,これまで主として,世界諸英語発音の分類・クラスタリングをその地図化が主目的であった。最終年度は,更に訛った英語を「聞き手がどのように感じているのか」を推定する枠組みについて検討する。訛った発音に対する嫌悪感・非選好度の推定である。これらはアンケート調査をすれば数値化されたものが得られるが,ここでは,事後的な評価ではなく,それを聞いている時(オンライン処理中)の嫌悪感・非選好度を対象とする。既に本年度,簡易脳波計を使った聴取時の脳波計測を行い,嫌悪感に相当するものが予測できるか否かを検討したが,雑音が多く,良好な結果を得られなかった。次年度は,単に聞くだけをタスクとせず,まずは,聴取しながらオンラインタスク(例えばシャドーイング)を行なわせ,聴取者の意識的活動を通して,嫌悪感・聞き取り難さ・非選好度に相当するものを定義する。そして,可能であれば,意識的タスクを介せずに,定量的に計測可能となった嫌悪感・聞き取り難さ・非選好度について検討する。
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