2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26240024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 誠一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (70315125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 治雄 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20222242)
前田 英作 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, その他部局等, その他 (90396143)
柳井 啓司 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20301179)
Frinken Volkmar 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 研究員 (70724417)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文字認識 / 情景内文字検出 / 文字合成 / 環境コンテキスト / フォント / デザイン心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に,情景内文字認識に関する様々な検討を行った.特に視覚的顕著性や環境コンテキストの利用を図った.さらに文字情報の遮蔽について実験的検証を行った. 第二に,情景内文字情報による環境認識の精度改善を図った.その一つは,既存の文字認識エンジンを利用して,車載動画の解析・要約である.具体的にはオプティカルフロー解析による自己動作認識に,道路案内板上の文字認識結果を融合させて,シーンの重要度推定を自動的に行い,道案内動画を作成する手法を提案した.もう一つは,より一般な情景認識課題への文字情報の有用性である.画像情報に加え,そこに映った文字情報を利用すれば,情景認識精度を10%程度向上できることが検証された. 第三に,手書き文字の認識についても様々な検討を行った.非マルコフ的特徴の提案や,またリカレントニューラルネットワーク(BLSTM)の利用による高精度化も図った.関連して大規模手書きデータの分布解析も実施した. 第四に,文字が与える非言語情報すなわち印象について,日本語のひらがなおよびカタカナを対象に実験心理学的な手法を用いて文字の太さとデザイン性の関連について検討を行った。その結果,全体的に文字の太さが太くなると先鋭性と軽量感が高くなり男性的な印象を受ける傾向がみられた。また,大人っぽい上品感が子供っぽい下品感に変化される傾向もみられた。さらに,文字の太さが太くなると形から不自然さまたは不安定な印象を受けて読みづらくなる傾向もみられた。 第五に,文字フォントの自動デザインについても着手した.さらに非線形アライメントを全7000フォントに同時適用するとこで,全フォントの平均形状を求めることに成功した.これは「Aとはなにか?」という人工知能の根源問題への一つの解となっている. 以上に加え,本研究課題に参画している研究者(連携研究者も含む)総勢20名が集まり,二日間夜を徹しての議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文字工学リノベーションの目的は,単なる「認識率追及」ではなく,広い視点から,文字という特殊なパターンを工学的に扱うことを目指すことにあった.上記実績概要からもわかるように,2014年度の実施内容は誠に多岐にわたっている.さらには多数の企業を含む日本中のエキスパートが参画した研究集会の実施は,過去にも類例のない試みであり,わが国の今後の文字工学にとって,単なる研究会以上の効果があったと確信する.
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度の繰り越し理由となった人材確保の遅れであったが,2014年度中は上記のように広範な研究を実施できており,研究進捗自体には目立った遅れは認められなかった.また2015年度中に人材(ポスドク1名)を雇用できており,2016年度も引き続き雇用する予定である.なお2015年度中の試みにより,大量のデータを準備しやすい文字認識研究において,深層学習(いわゆるディープラーニング)の著しい有用性が発覚しており,2015年~2016年度はそうした技術も積極的に利用する予定である.
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Research Products
(28 results)