2014 Fiscal Year Annual Research Report
全身感覚運動情報の多相計測と能動再構成に基づく身体性変化即応認知行動機能の研究
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26240039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國吉 康夫 東京大学, 情報理工学系研究科, 教授 (10333444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長久保 晶彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 研究員 (00357617)
大村 吉幸 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (10598022)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 知能ロボティクス / 身体図式 / 適応行動 / 認知 / 人間計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の項目に関して,実験系の構築と理論・手法の検討を行った. 1.全身多相感覚運動計測装置の開発:独自開発の分布触覚センサやモーションセンサについて,小型化,薄型化,高密度化,耐久性向上等の改良を行い,身体表面に装着して日常動作中の触覚運動情報を高品質に計測する実験を体系的に実施可能なものとした.また,触覚運動データの同期計測と3次元表示等を行うソフトウェアを構築し,計測システムとしての完成度を高めた.これらの技術の一部は,産業応用に向けて企業に有償供与された. 2.人体型筋骨格ロボットプロトタイプの開発と構成検討:空気圧人工筋を用いた棒高跳び動作実験用ロボットや瞬発的リーチング動作実験用ロボット要素,独自のパウチモータ要素に基づく新たな生体筋型アクチュエータとそれを用いた腕機構,などをほぼ全て自作により構築し,動作実験を行った.一連の成果は2015年中に開催される国際会議や国内学会大会等に投稿済みである. 3.身体性変化課題の検討および被験者実験の準備:計画通り,体験用義肢装着時の適応に関する実験の検討と予備試行を行った.また,想定外の進展として,医学者との共同研究の機会を得て,歩行器利用中の転倒実験データを入手し解析に着手した.また,ダイナミック道具使用運動に関して,棒高跳び動作の力学モデル解析を詳細に行い,これに基づき上記2.で開発したロボットを用いて実験に成功した.これは想定以上の進展といえる. 4.身体図式の基礎理論と手法の検討:手で物体を把持して振った時の対象物の長さ知覚(ダイナミックタッチ)に関して,複雑な筋骨格系を通した筋固有感覚と対象物運動との関係を,主に力学系理論に基づき解析した.また,身体の感覚・運動情報の構造を,情報理論的解析およびニューラルネットワークにより明らかにする研究をシミュレーションデータについて行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全体として,当初計画内容は概ね順調に達成し,これに加え,独自のパウチモータ要素を用いた新たな生体筋型アクチュエータと腕機構の開発,空気圧人工筋を用いた双腕型棒高跳びロボットの開発と実験成功,医学者との共同研究による歩行器使用時の転倒動作実験データの入手と解析,などの,当初計画を越えた,あるいは想定外の,重要な進展があった.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画通り,本年度の成果を踏まえて,人間動作とロボット実験を融合した研究を推進する.研究項目レベルでは,想定外の進展等を踏まえ,具体的な実験対象動作等をより適切なものに変更することも検討し,これに伴い,計測装置やロボットの仕様も修正,改善しつつ,さらに優れた成果の創出を目指す.
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