2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26241006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
角皆 潤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50313367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 浩志 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 室長 (30342736)
佐藤 啓市 一般財団法人日本環境衛生センターアジア大気汚染研究センター, 情報管理部, 上席研究員 (00391110)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オゾン / 三酸素同位体 / 対流圏 / 成層圏 / フィルター |
Outline of Annual Research Achievements |
オゾンが亜硝酸イオンと速やかに反応して硝酸イオン化する性質を利用して、高精度かつ高感度のオゾンの三酸素同位体組成定量法を開発した。捕集効率や、吸引時間、未反応の亜硝酸イオン試薬の除去率、ブランク、国際標準スケールへの校正方法などの検討を行った。その結果、捕集には1パーセント亜硝酸ナトリウム水溶液を塗布したセルロースフィルターがもっとも適切で、これを3段以上重ねたものに、毎分1L未満の低流量で対流圏大気試料を現場で通過させることで、対流圏大気中のオゾンが定量的に硝酸イオンの形で捕集出来るようになった。ただし亜硝酸ナトリウム水溶液を放置すると大気中のオゾンと反応してブランク値が上昇することが明らかになったので、一連の処理はヘリウムでパージした環境下で迅速に行うように手順を改良した。また未反応の亜硝酸イオンは、酢酸でバッファーしたpH環境下でアジ化水素と反応させることで、定量的に一酸化二窒素化出来ることが明らかになった。一酸化二窒素は高純度ヘリウムでパージすることで、硝酸イオンには影響すること無しに定量的に除去出来るので、この方法でオゾンの捕集を行うことにした。また国際標準スケールへの校正するため、予め同位体比を定量した高純度酸素をオゾン発生器を通してオゾン化し、オゾン生成後の同位体比との差分から同位体比既知のオゾンを発生させることが出来るようになった。 観測開始の目処がついたので、名古屋大学(愛知県)で試験観測を開始した。また新潟県内でも観測開始の準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最大の懸案であった未反応の亜硝酸イオン試薬の除去に目処がつき、名古屋大学(愛知県)で試験観測を開始した。国際標準スケールへの校正方法にはまだ課題が残っているが、観測開始の目処はついたので、おおむね順調に進展していると結論した。国際標準スケールへの校正は観測と同時進行で進める。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度より佐渡関(新潟県)でも観測を開始する。愛知県および新潟県で得られた試料は名古屋大学の角皆の研究室に輸送し、角皆および院生や研究支援員・補助員が分析を進める。観測結果について、①日周変化の有無(および日周変動が有る場合はその変動幅)、②季節変化の有無(および季節変化が有る場合はその変動幅)、③三種の酸素同位体間の関係、④成層圏オゾンの混合比の算定、と言った点に重点を置き解析を進める。またモデルとの整合性を考察する。また遅れている国際標準スケールへの校正は観測と同時進行で進める。
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[Presentation] 水試料から気体を抽出する2015
Author(s)
角皆 潤, 伊藤昌稚, 中川書子
Organizer
2015年度質量分析学会同位体比部会プレゼミ
Place of Presentation
滋賀県大津市湯の宿木もれび
Year and Date
2015-11-25 – 2015-11-27
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