2015 Fiscal Year Annual Research Report
精密質量データ解析法の開発と環境化学物質モニタリングへの応用
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26241026
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
橋本 俊次 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 室長 (80321719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 宜寿 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質担当, 研究員 (30415393)
山本 敦史 大阪市立環境科学研究所, 調査研究課, 研究員 (40332449)
高澤 嘉一 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (40391122)
柏木 宣久 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50150032)
田邊 潔 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, フェロー (60150174)
頭士 泰之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 排出暴露解析グループ, 研究員 (80611780)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ノンターゲット分析 / 精密質量分析 / 環境モニタリング / 異常の検出 / 早期警戒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ガスクロマトグラフ-高分解能飛行時間型質量分析計(GC-HRTOFMS)の環境分野への活用の高度化を図り,研究分野の開拓に繋がる手法の開発を目指し,GC-HRTOFMSの能力を最大限活用した物質の検索・同定が可能な高精度な網羅的分析法や,物質組成や量の変化を高感度に検出・識別できる精密質量データの解析法を提案し,測定データからの物質の発掘や検索・同定において精密質量データを用いることの優位性を明らかにすることを目的としている。 ケーススタディとして,廃棄物処分場,環境監視地点などにおける大気および水環境中の化学物質の網羅的モニタリングおよび異常検出とその原因解析を行い,提案する手法の妥当性と有用性について検証中である。 今年度は、水質の抽出条件の検討を中心に行った。抽出は、ポリジメチルシロキサン撹拌子によるスターバー抽出(試料量50ml、室温(25℃前後)を基本とし、アセトン及びNaCl添加(30%w/w)、回転数1500rpm程度、抽出時間18-24時間とした。これにより、POPs類およびポジティブリスト農薬の70-80%をカバーする抽出を可能にした。 昨年度に引き続き、北海道の4地点(岩見沢、北見、帯広、札幌)において大気のサンプリングを実施した。水試料は千葉県下の最終処分場の処理水採水口と周辺河川および埼玉県の河川から採水した。埼玉県河川水の採水は、化学成分の変動解析のため2週間おきに実施した。 データ解析手法の検討では、ボロノイ分割によるピーク領域判定と頂点移動法による2次元クロマトグラムの保持時間合わせ、データ間の差の検出法として非負因子分析による因子分解(NMF)の応用について昨年度から引き続き検討を行い、ソフトウェアのプログラミングを開始・改良を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度遅れていた環境試料の採取が始まり、試料測定も軌道に乗りはじめたことより、計画は概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前半まで定点観測地点において定期的な試料採取を進め、並行してGC(xGC)-HRTofMSにより精密質量測定を行う。得られたデータをNMFを応用した自作の「差の解析プログラム」にかけ、特徴的なマススペクトル(成分)の抽出や物質検索を実施する。このとき、質量分解能がデータ解析に及ぼす影響についても観察し、環境モニタリングにおいて精密質量データを活用することの有効性を評価考察する予定である。
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Research Products
(8 results)