2017 Fiscal Year Annual Research Report
コンピテンスに基づいた、初等中等理科教育の学習コンテンツ再構成に関する研究
Project/Area Number |
26242010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 誠 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (60322856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 雄作 独立行政法人大学入試センター, 独立行政法人大学入試センター, 教授 (00160549)
人見 久城 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (10218729)
細川 和仁 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30335335)
大貫 麻美 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (40531166)
隅田 学 愛媛大学, 教育学部, 教授 (50315347)
荻原 彰 三重大学, 教育学部, 教授 (70378280)
三好 美織 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (80423482)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コンピテンス / コンピテンシー / 資質 / 能力 / カリキュラム / 学習内容 / 学習指導要領 / 学力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、4月16日、7月8日、12月23日、2月26日の計4回に渡って、コンピテンス構成WGとコンテンツ再構成WGの合同研究会を実施し、抽出したコンピテンスの再検討や構成要素の分析を理科4領域から進めた。また、コンピテンス基盤型教育が進むフィンランドやフランス、ドイツに着目し、特に前2国については教育調査を実施し、具体的な学習内容や評価、また授業者へのインタビューや用いる教科書などの情報を収集した。これらの知見から参考となるものを、進めているコンピテンス基盤型教育へ組み込む作業を開始した。 また、コンピテンスに基づいた学習コンテンツ再構成に関する研究も、物化生地4領域で継続して進めた。物理領域では学習内容の再構成に着手し、高校物理基礎にあたる内容を中心に、アウトラインをまとめた。また、中学校理科におけるコンピテンス育成をねらいとした授業を2件実践し授業の効果を分析した。化学領域では、諸外国のカリキュラムの事例分析により得られた化学領域のコンピテンスに関わる仮説を踏まえつつ、教科内容の立場から研究協力者を迎え、学問を基盤としたアプローチによりコンピテンスの検討と精緻化を行った。また、コンピテンスの育成に適した化学領域の学習内容や授業構成について検討を行った。生物領域は、生命科学でに学びにおけるコンピテンスを整理・統合し、それを醸成する学習内容の再配置の作業を進めた。地学領域は、小学校から高等学校までの求められるコンピテンスについて再度整理した。一方、4領域にまたがる横断的なコンピテンスについても、その醸成が可能となる学習コンテンツと合わせて、前述した4回の研究会の中で議論を進めた。特に他領域との関連性について具体的な文脈での検討を行った。 これらの研究の一部は、日本理科教育学会(8月)の課題研究で5件、及び日本生物教育学会(1月)で1件、計6件学会発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歴史や文学、芸術分野で求められる能力について調査、及び日本の文化的背景を元にした理科教育に求められるコンピテンスの要素を分析、またOutcome basedで先行するアメリカの医学教育の調査が、今年度は余り進まなかった。しかしながら、抽出したコンピテンスの再検討及び物化生地4領域のWGにおけるコンテンツ再構成の作業は、進捗状況に差はあるものの、ほぼ順調に進んでいる。例えば物理領域では学習内容の再構成を進め、中学校理科、高校物理基礎を中心に進んでいる。また授業も実践した。小学校理科物理領域が今後の課題となっているが、ほぼ当初の予定通りと思われる。生物領域では幼児期から高等学校までを通したコンピテンスの検討と、それに呼応する具体的なプログラムの立案・実施が、すでに一部の学年段階で実施された。 全体の研究会を4回、学会発表時を含めると5回と多く、各WG内で進められている研究会を含めると、研究は概ね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度が研究の最終年度になることから、多くの研究者や現場の教員に参考となる知見を提供したいと考える。現在進めている物化生地4領域におけるコンピテンスに基づくコンテンツの再構成を、幼児教育から高校教育まで見通して進めると同時に、教科横断的なコンピテンスの設定とそれを起動するクロスカリキュラムのあり方まで言及したいと考えている。一方、コンテンツ再構成に伴う各領域での授業実践を行い、特にコンピテンス基盤型教育の柱となる評価方法について、知見を得たい。これらの成果の一部は、2018年の日本理科教育学会や日本生物教育学会での発表を予定している。 一方、新しい学習指導要領が示されたので、それとの整合性の検討など国内外の最新の動向との比較検証を論文としてまとめること、及び、それをふまえ実践事例に基づく研究を論文としてまとめることが、今後の本研究の研究の課題と考えている。
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Research Products
(17 results)