2014 Fiscal Year Annual Research Report
スキルの維持向上に基づき能力限界と機能喪失に備える相補的ヒューマンマシンシステム
Project/Area Number |
26242029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊藤 誠 筑波大学, システム情報系, 教授 (00282343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 敏洋 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30311749)
和田 隆広 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30322564)
安部 原也 一般財団法人日本自動車研究所, 安全研究部, 研究員 (30426259)
稲垣 敏之 筑波大学, システム情報系, 教授 (60134219)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒューマンマシンシステム / 次世代交通システム / 国際研究者交流 / オランダ,フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
故障・能力限界を有する安全制御・プロテクションについて,システムのセンシング能力に限界があることを前提として,システムへの過信に関する知見に基づき,過信抑制型のシステムとして構築し,ドライビングシミュレータを用いて検証を行った. ドライバ意識喪失状態の検知技術について,過去の研究成果に基づいて,覚醒度低下検出手法を構築した.急に生じる覚醒度低下に対しては,体動だけでは十分に検知できない場合がありうることから,運転操作に基づく覚醒度低下検出手法の高度化にも取り組んだ.覚醒度がやや低下している場合(運転への復帰が可能)と,今にも眠り込みそうな場合(運転への復帰が困難)とでは,システムの対処方法が異なる.これまでは前者を対象としていたことから,本アプローチを後者の問題へ拡張した. システム限界時のスムーズな制御権限の返還機構について,自動制御中システムの能力限界に達した場合の,オペレータへのスムーズな制御の移行方法を構築する.投入可能なコストに応じて,システムの環境認識等の能力レベルは多様であることから,能力限界の態様に応じた対処法の整理を行った.システムが文脈を理解できなくなった場合,システムからオペレータへの制御の移行方法を構築し,実験で検証を行った. 異常時対応のためのスキル維持・向上の動機づけと支援について,先行車に対する衝突リスクを算出し,その値に基づいてシート座面を隆起させる触力覚情報提示システムによって,スキル維持向上の動機づけが図られることを確認した.また,カーブでの力覚操作ガイダンスの制御側をもとに,自動車の後退駐車を例に,力覚操作ガイダンスとスキル向上支援を同時に行う手法を構築し,シミュレータ上で検証を行った. これらの研究の推進のために,D. de Waard, M-P Lemoine, S. Debernard, D. Abbinkを招へいした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1-2,2-1については,予定していた通りに研究を進めることができた.とくに2-2において,1-1との連携が図られ,横方向制御において車線逸脱防止から,車線変更時の衝突回避まで,プロテクションを一貫して設計可能な適応的ゲイン制御手法ができた.ただし,1-1において,システムの能力限界の多様性も次第に明らかとなり,課題が増えている.また,動機づけの部分において,横方向への拡張がやや遅れている. 一方で当初予定にあったスキル向上支援策については,スキル向上がより望まれる後退駐車を対象として有効な支援策が構築できており,当初の予定を上回る成果といえる. 以上を総括すると,全体としてはおおむね順調に進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
1-1については,システムの能力限界の多様性を踏まえて,議論を精密化する.1-2,2-1については,当初予定通り進める.2-2のスキル向上策については,26年度の成果を踏まえ,shared control時の腕の機械インピーダンス変化を調査し,スキル向上におけるバイオメカニズム的基盤の解明を試みる.さらにその結果に基づき,スキル向上に適した,ゲイン設定手法の確立を目指す.2-2の動機づけについては,横方向制御を含めた形へのシステム拡張を行う.さらに,手動運転スキルに対するドライバの自覚促進と,スキル向上への動機づけを高める仕掛けについて拡充を図る.
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