2015 Fiscal Year Annual Research Report
超音波による微小気泡の凝集体形成を利用した生体内細胞デリバリー技術の創成
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26242053
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
桝田 晃司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 紘正 日本大学, 総合科学研究所, 准教授 (00470005)
千葉 敏雄 日本大学, 総合科学研究所, 教授 (20171944)
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
安井 久一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (30277842)
絵野沢 伸 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 先端医療開発室, 室長 (40232962)
鈴木 亮 帝京大学, 薬学部, 准教授 (90384784)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音響放射力 / 治療用細胞 / 微小気泡 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,診断目的で使われている超音波造影剤すなわち微小気泡を用いた低侵襲治療の研究が盛んに行われている.また,細胞を利用した低侵襲ながん治療が開発されている.しかし,体内に投与した微小気泡や細胞の挙動は血流に依存し,体内で拡散するため,投与量に対して疾患部へ到達する量が低いという問題があった.今回は微小気泡の凝集体を用いて2つの試みをしている.1つは,治療応用可能な微小気泡の複数経路同時捕捉を検討した.生体内の血管は分岐を繰り返す複雑な構造をしており複数経路に同時に微小気泡を捕捉できれば治療効率向上が期待できる.2つめに細胞を包含した微小気泡凝集体の動態制御を検討した.静水中,流水中での細胞を包含する微小気泡凝集体の制御法を検証した. 静水中の細胞を包含した微小気泡は超音波照射によって音波の進行方向へ誘導することができた.流水中では分岐を有する人工血管流路において所望の経路へと細胞を包含した微小気泡凝集体を誘導できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、マウス由来のColon-26細胞と、それに特異的に付着するトランスフェリンを表面に付着させた微小気泡(バブルリポソーム)を用いている。前年度と同様の条件で、細胞を包含した微小気泡凝集体を形成した。微小気泡と細胞はそれぞれ別々の波長で励起発光するように染色している。ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)にて成形した微小閉空間に凝集体を含んだ懸濁液を封入し、蛍光顕微鏡にて観察する実験系を構築した。微小閉空間内に対して制御用の超音波を照射し、視野内の凝集体の動態を画像処理により追跡した。さらに、超音波の連続照射時間を調整し、凝集体が視野内に常に収まるように複数方向から制御用の超音波を照射することによって凝集体の移動距離を計測した。実験の結果、中心周波数7MHz以上では、照射時間が2secを超えると凝集体を動かすことはできなくなった。一方、中心周波数5MHz以下では、6secの照射時間内に最大1.5mm程度の距離を移動させることができた。またこれまでに用いた全ての周波数範囲において、音場内の最大音圧に比例して凝集体の移動距離は長くなった。微小気泡の共振周波数は10MHz以上であることから、高周波数では微小気泡の崩壊が進み、細胞の推進力が低下したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は細胞をT細胞に変更して、同様の試行を試み、細胞ー微小気泡凝集体の制御性を確認する。十分な制御性が確認された場合は、組織への定着実験と、生体内での制御実験に適用する。
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Research Products
(4 results)