2016 Fiscal Year Annual Research Report
医薬工連携による画期的診断システムの構築と心不全に対する新規診断法の開発
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26242055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (50263306)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 検査・診断システム / 抗体 / 心不全 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国民病ともいえる心不全を例に、プロテオミクスなどを活用して心不全の早期診断・病態診断に叶う診断用バイオマーカー蛋白質を同定したうえで、高親和性の抗体を創製することで、心不全に対する有用な体外診断法を開発することを目的とする。 本年度は、昨年度に引き続き、心不全に対する早期診断・病態診断を可能とする、診断用バイオマーカーの探索を試みた。具体的には、心臓冠血管の出口である冠状静脈洞血(CS血)と冠血管の入り口の血液として大腿動脈血(FA血)を対象に、各血液からCS血で発現上昇している蛋白質について、iTRAQ法を用いた網羅的プロテオーム解析により探索した昨年度までの結果に基づき、1.5倍以上発現上昇している蛋白質を23種類同定した。これら心分泌候補蛋白質が、心不全に対するバイオマーカーとして利用可能か否かについて、心不全モデルマウスを用いて評価した。マウス血清を用いた心分泌候補蛋白質の定量評価の結果、対照群と比較し、心不全モデルマウス群の血中において、細胞骨格関連蛋白質や細胞外マトリックス制御蛋白質の発現量が増加することを見出した。そこで、これら候補蛋白質について、ヒトFA血、およびCS血中における定量解析を実施したところ、ヒトCS血中における候補蛋白質量の増加が認められ、心分泌蛋白質となり得ることが示唆された。また、安全かつ有用な生体イメージング用のナノ粒子の開発に向け、これまでに引き続き、種々物性のナノ粒子の体内・細胞内動態に着目した安全性評価研究と安全なナノ粒子の開発設計に向けた検討にも取り組んできた。今後、多症例のサンプルを用いたバリデーションを実施すると共に、バイオマーカー候補の心臓組織における存在量・発現部位を解析し、その有用性および心不全における役割を検証することで、心不全に対する診断用バイオマーカーの同定を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した内容に沿って、研究が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、心エコーでは診断困難な 右心不全、拡張不全や拡張型心筋症により心不全に陥った、病態・重症度の異なる患者血清サンプルを用いたバリデーションを図ることで、診断用バイオマーカーとしての有用性評価を実施する。さらに、血清中多量蛋白質の除去法、ならびにより効率的に同定蛋白質数を向上し得る解析手法を確立しつつあることから、本手法を適用し、血清中に存在する微量蛋白質を対象とした、心分泌候補蛋白質の探索、ひいては、心不全に対する診断用バイオマーカーの同定を試みる。
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Research Products
(3 results)