2014 Fiscal Year Annual Research Report
認知症予防のためのポピュレーション・アプローチのシステム構築と効果検証
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26242059
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
島田 裕之 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 生活機能賦活研究部, 部長 (00370974)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知症 / 予防 / 地域保健 / 介護予防 / 活動 / 認知機能 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症を予防するためのポピュレーション・アプローチのシステムを開発し、地域全体での認知症発症率の減少が可能かを検証することを目的とした。この目的の実現のため、行政、医療機関、ボランティア、企業が連携して高齢者の身体、知的、社会活動の向上を促すシステムを構築し、そのシステムを活用した認知症予防対策の効果を検証する。対象とした自治体は、愛知県高浜市(人口約46,000人、高齢化率約17%)とし、本研究実施のための協議を続けてきた。平成26年度には、本研究の実施を支援する地域人材を養成し、調査の試行を行った。研修内容は、認知症に関する概論、認知機能や運動機能測定方法、認知症予防のための取り組みの方法等についての講習、各種検査の実技講習と実地研修を実施した。50名の高浜市市民の研修を終えて、平成27年度に実施予定の高齢者機能健診の実施体制を整えた。また、活動のモニタリングとその指標を用いた認知症の危険性の早期発見システムの構築へ向けて、花王(活動モニタリング)と富士通(早期発見システム構築)との共同研究体制の構築を実現した。また、高齢者の認知症予防活動の拠点となる健康自生地(運動、趣味、交流の場)の視察、活動内容の調査を進めて、活動モニタリングに必要な基盤整備についての調査を実施した。その結果、モニタリングに必要なインターネット環境のない健康自生地が多数存在し、インフラ整備を進めるための協議を花王と始めている。また、高浜市との協議は毎月定期的に進めており、健康自生地の管理を実施している高浜市役所福祉部生涯現役まちづくりグループの参加も得られ、行政機関との協力体制を構築できた。市民に対しては、本事業の周知を促すために、事業紹介のための冊子を作成して全戸配布する準備や市内に掲示するためのポスターの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、認知症の危険性を早期に発見するためのシステムの構築、各種活動の実施が認知症の発症遅延にいかなる影響を及ぼすかを検証することを目的としており、行政機関、民間企業、市民といった多様なステークホルダーの参画が必要である。平成26年度は、研究目的を実現するための基盤を構築することが求められていた。具体的には、調査や介入の補助を行う人材の養成、企業との連携、行政との信頼関係の構築が重要な課題であった。平成26年度には、高浜市民を対象とした研修を実施し、50名の研修を終え、調査の試行を実施した。民間企業との関係構築では、花王(活動モニタリング)と富士通(早期発見システム構築)との共同研究体制の構築を実現した。高浜市との協議は毎月定期的に進めており、市長を含めた関連部署との協議を実施した。平成26年度からは健康自生地の管理を実施している高浜市役所福祉部生涯現役まちづくりグループの参加も得られ、行政機関との協力体制を構築できた。これらは、平成26年度の実施項目すべてを包含しており、順調に研究は進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27 年度は、1)モニタリングシステムの完成と健康自生地への設置、2)高齢者機能健診の実施、3)介入の実施、4)認知症発症、要介護認定発生のモニタリングを実施する。モニタリングシステムは、介入対象者に配布する活動量計による日常の活動状況の把握と、高浜市内88か所(平成27年度末の見込み)の活動場所に活動量計データ収集端末を設置して各種活動への出席状況を確認、および歩数等のフィードバックができるシステムを構築する。 認知症の危険性を把握するための高齢者機能健診は、住民のスタッフを活用しつつ実施する。対象は60歳以上の高齢者10,982名とし、測定の目標人数は3,360 名とする。27 年9月から28 年3月にかけて40 日間の調査を実施する。 介入は、本研究の意義に同意した高齢者に対して、セルフモニタリングのためのフェリカ機能付き加速度計を渡し、市内に点在する活動場所(健康自生地)での活動を推奨する。健康自生地にフェリカの端末を設置して活動状況を把握するとともに、日常の身体活動状況の把握を行う。健康自生地での活動を積極的に実施する群と活動しない群との認知症発症および要介護認定発生の違いを調査する。また、健康自生地に来ない対象者を抽出してランダムに認知症予防スタッフを訪問する群としない群を設定して、群間で認知症発症と要介護認定発生の違いが生じるかを確認する。 認知症発症と要介護認定情報については、高浜市、愛知県国民健康保険団体連合会、愛知県後期高齢者医療広域連合と連携してデータの整理をしてアウトカムを取得できる体制を整える。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Effects of mild and global cognitive impairment on the prevalence of fear of falling in community-dwelling older adults2014
Author(s)
Uemura K, Shimada H, Makizako H, Doi T, Tsutsumimoto K, Yoshida D, Anan Y, Ito T, Lee S, Park H, Suzuki T.
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Journal Title
Maturitas
Volume: 78
Pages: 62-66
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A large, cross-sectional observational study of serum BDNF, cognitive function, and mild cognitive impairment in the elderly.2014
Author(s)
Shimada H, Makizako H, Doi T, Yoshida D, Tsutsumimoto K, Anan Y, Uemura K, Lee S, Park H, Suzuki T.
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Journal Title
Frontiers in Aging Neuroscience
Volume: 6
Pages: 1-9
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Slow gait, mild cognitive impairment and fall: obu study of health promotion for the elderly2014
Author(s)
Doi T, Shimada H, Park H, Makizako H, Tsutsumimoto K, Uemura K, Hotta R, Nakakubo S, Suzuki T.
Organizer
ISPGR World Congress
Place of Presentation
Vancouver, BC, Canada
Year and Date
2014-06-30 – 2014-06-30
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