2014 Fiscal Year Annual Research Report
極限環境下におけるアーキアの遺伝情報維持機構の解明
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26242075
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石野 良純 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30346837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 利男 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50143764)
金井 昭夫 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60260329)
跡見 晴幸 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90243047)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超好熱性アーキア / ゲノム安定性維持 / 遺伝情報 / DNA修復 / RNAプロセシング / 翻訳装置 / 極限環境 / Thermococcales |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は極限環境下における生命維持現象の解明を目指し、研究対象として100℃の高温下で生息する超好熱性アーキア(古細菌)が遺伝情報を維持し、子孫に伝達して行くしくみ明らかにするのが目的である。本研究で超好熱性アーキアの代表的な種であるT. kodakarensis、P. furiosusを用いて遺伝学的手法と生化学的手法を融合させながら解析を進めている。本研究は超高温という特殊環境での生命現象の解明と同時に、生物が獲得した遺伝情報の複製、修復、転写、翻訳装置の作動原理について究明するための比較生物学を推進する。 超好熱アーキアのゲノム安定性維持に含まれるタンパク質解析のうち、我々が発見して命名したEndoQは、EndoVと同一過程で機能するのではなくそれぞれ独立に働くことを示した。分担者との連携で、endoQ, endoV 遺伝子破壊株の作製も行なった。さらに、Thermococcus 特有のExonuclease I の構造と機能の解析も進んだ。また、アーキアに特有のミスマッチ塩基切断酵素の解析も進めて特許出願した。RNAプロセシングに関しては、RNA分解関連遺伝子の網羅的な同定と性状解析を進めた。また、tRNA前駆体スプライシング再構成系の構築とその制御に関わる因子の同定に成功した。翻訳伸長反応においては、リボソームストークタンパク質aP1のC末端部位と翻訳因子aEF1Aの複合体の結晶構造を解明し、aP1のC末端部位の翻訳因子リクルートへの寄与を明らかにした。さらにaP1のC末端のはたらきとして、翻訳因子EF1AとEF2をリボソームの機能中心(SRL:毒素標的部位)に運びこむ機能を示した。リボソーム粒子中でのaP1のC末端の機能は、アーキアin vitro翻訳系へのC末端部位の合成ペプチド添加による阻害効果でも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H26年度は主として、各研究室の進行テーマを進行し、着実に成果をあげ、それぞれに一流国際ジャーナルに論文発表を行なった。 超好熱性アーキアで発見して命名したEndoQ (Nucleic Acids Res. 2015)と、先に解析を進めたEndoV(J. Biochem. 2014)が同一過程で機能するのではなく、それぞれ独立に働くことが示唆された(論文投稿中)。Thermococcus 特有のExonuclease I の構造と機能の解析も進んだ(論文投稿中)。また、アーキアに特有のミスマッチ塩基切断酵素の解析も進めた(近日投稿予定)。 tRNA プロセシングに関する総説論文を2報発表した(Frontiers in Genetics, 2014, Life (Basel, 2014)。さらに、P. horikoshiiのリボソームと翻訳因子間相互作用へのリボソームストークタンパク質aP1のC末端部位と翻訳因子aEF1Aの複合体の結晶構造を解明し、aP1のC末端部位の翻訳因子リクルートへの寄与を明らかにした(Nucleic Acids Res, 2014)。さらにaP1のC末端のはたらきとして、翻訳因子EF1AとEF2をリボソームの機能中心(SRL:毒素標的部位)に運びこむ機能を示した(論文投稿中)。 以上に加え、今年度の成果は順次、論文として発表していく。
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Strategy for Future Research Activity |
まず各研究室の進行テーマをさらに発展させ、着実に成果をあげた。これらを継続させながら、得られた結果を基にして、それぞれの過程で解析が進められている上記の遺伝子および遺伝子産物に注目して、本研究計画全体テーマであるオミックス解析を進める。研究のストラテジーとしては申請書に記載した方法により進めている。プロテオーム解析の手法、条件などの検討はすでに進められているので、本研究のターゲットである超好熱菌Pyrococcus, Thermococcusを用いた実験を進める準備ができている。例えば、Pyrococcus furiosusの全タンパク質抽出液を系統的に(複合体として)分離し、複数のRNA分解活性を呈する分画を得ているし、リボソームに結合する各種因子を同定するために、リボソーム分画をある程度単離して結合タンパク質を絞っている。さらに、Thremococcusで個々の遺伝子を破壊する実験も順次進めているので、変異株の性質についても並行して解析を進める。 さらに、本研究の各チームから得られている情報を詳細に検討しながら、有機的に連携して、超好熱性アーキアの生命現象の解明に近づきたいと考えている。得られた成果は、国内の関連学会はもとより、関連の先端国際会議において発表を行なう予定である。
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Research Products
(47 results)
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[Journal Article] An optimized Npro-based method for expression and purification of intrinsically disordered proteins for NMR study.2015
Author(s)
Goda, N., Matsuo, N., Tenno, T., Ishino, S., Ishino, Y., Fukuchi, S., Ota, M., and Hiroaki, H.
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Journal Title
J. Intrinsic. Disordered Prot.
Volume: 3
Pages: 1-6
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] A novel endonuclease that may be responsible for damaged DNA base repair in Pyrococcus furious2015
Author(s)
Shiraishi, M., Ishino, S., Yamagami, T., Egashira, Y., Kiyonari, S., and Ishino, Y.
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Journal Title
Nucleic Acids Res
Volume: 123
Pages: 2853-2863
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Expression, high-pressure refolding, purification, crystallization and preliminary X-ray analysis of a novel single-strand-specific 3′-5′exonuclease PhoExo I from Pyrococcus horikoshii OT3.2014
Author(s)
Miyazono, K., Tsutsumi, K., Ishino, Y., and Tanokura, M.
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Journal Title
Acta Cryst.
Volume: F70
Pages: 1076-1079
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Activation of the MCM helicase from the thermophilic archaeon, Thermoplasma acidophilum by interactions with GINS and Cdc6-2.2014
Author(s)
Ogino, H., Ishino, S., Haugland, G.T., Birkeland, N-K., Kohda, D., and Ishino, Y.
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Journal Title
Extremophiles
Volume: 18
Pages: 915-924
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Multiple interactions of the intrinsically disordered region between the helicase and the nuclease domains of the archaeal Hef protein.2014
Author(s)
Ishino, S., Yamagami, T., Kitamura, M., Kodera, N., Mori, T., Sugiyama, S., Ando, T., Goda, N., Tenno, T,, Hiroaki, H., and Ishino, Y.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 289
Pages: 21627-21639
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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