2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26243006
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
矢野 恵美 琉球大学, 法務研究科, 教授 (80400472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 聖子 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (30251557)
小名木 明宏 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60274685)
高田 清恵 琉球大学, 法文学部, 教授 (30305180)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 受刑者 / 子ども / 北欧 / 携帯乳児 / 被虐待児 / 母子ユニット / 子の最善の利益 / バンコク・ルールズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は研究の初年度であり、本研究が扱うテーマは犯罪を「犯罪者を親にもつ子ども」という視点から捉え直すという、これまでほとんど扱われてこなかったテーマであるため、参加者全員での会議を重ね、各分野からの問題点の洗い出しを行った。全体会議では研究分担者の小西聖子氏より「被害者(子)と加害者(親)にかかわる認知行動療法」に関する報告、研究協力者の立石直子氏より家族法分野における「拘禁者を親にもつ子ども」の扱いに関して報告があり、メンバー全体で知識を共有した。 又、各自が担当の国で調査を行った。特に、子どもの権利条約と関連して、「親が拘禁中の子ども」に焦点を絞り、研究代表者、分担者、協力者が現地調査を実施した。矢野はスウェーデン、ノルウェーの状況、小名木明宏はドイツの状況、齋藤実はフィンランドの状況について現地調査を実施したが、本問題は男女共同参画、国の福祉政策と関連していることが明らかとなった。どの国でも「子の最善の利益」を基準として、福祉関係者が子どもの状況を個別に判断していた。又、スウェーデン、ドイツ、フィンランドはいずれも男女共同参画が進んでおり、受刑者と子どもが一緒に暮らすことについて女性受刑者に限定はしていなかった。 本年度の時点で明らかになった内容について、2014年の犯罪社会学会第41回大会において、「犯罪者を親にもつ子どもへの法的支援の必要性-親が受刑中の場合」というテーマセッションを立ち上げ、矢野から企画趣旨を説明した後、法務省矯正局の小島まな美氏に日本の状況について述べて頂いた後、立石が家族法の観点からの問題提起を行い、小名木がドイツ、齋藤がフィンランド、矢野がスウェーデンの状況を述べ、フロアとディスカッションを行った。ディスカッションを通じて、児童相談所の関わりの可能性、矯正施設における被虐待児の扱いについても今後の課題とすることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が扱うテーマは犯罪を「犯罪者を親にもつ子ども」という視点から捉え直すという、これまでほとんど扱われてこなかったテーマであるため、参加者全員での会議を重ね、各分野からの問題点の洗い出しを行った。「犯罪者を親にもつ子ども」については、大きく分けて、①自身が親の犯罪の被害者ではない場合、②自身が親の犯罪の被害者である場合の2つのカテゴリーがあり、又、a 親が受刑中の場合、b 親が社会にいる場合の2つのカテゴリーもあるが、②については被虐待児の研究と大きく重なることから①を中心とし、aについて日本ではこれまでほとんど扱われてこなかったのに対し、世界的には対応が進んでいることから、まずは①aのカテゴリーの子ども達について研究を開始し、海外調査も始め、学会報告も実施したため。
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Strategy for Future Research Activity |
「犯罪者を親にもつ子ども」については、①自身が親の犯罪の被害者ではない場合、②自身が親の犯罪の被害者である場合の2つのカテゴリーがあり、又、a 親が受刑中の場合、b 親が社会にいる場合のカテゴリーがある。今年度は①aについて研究を開始した。しかし、研究を進めると、さらに①aについても、ⅰ子ども自身が刑務所に居住している場合、ⅱ子ども自身は社会にいる場合、ⅰ)受刑中の親が母親の場合、ⅱ)受刑中の親が父親の場合等、様々なカテゴリー分けが必要であることが判明した。そのため、2015年度は細分化の部分も含め分析を行い、家族法、行政の対応についても力点を置きつつ、刑事司法全体における子どもの保護の必要性について研究を進め、最終年度である2016年度には、刑事司法全体における子どもの保護の必要性、子ども自身が親の犯罪の被害者である(被虐待児)場合にまで研究を進める予定である。2016年度には研究メンバーが成果を報告する国際セミナーを開催予定である。
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Research Products
(14 results)