2014 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域における布工芸品の生産・流通・消費をめぐる文化人類学的研究
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26244053
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中谷 文美 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90288697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 星子 京都文教大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70298743)
青木 恵理子 龍谷大学, 社会学部, 教授 (40180244)
上羽 陽子 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (10510406)
窪田 幸子 神戸大学, その他の研究科, 教授 (80268507)
落合 雪野 鹿児島大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50347077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 国際研究者交流 / 布 / グローバルネットワーク / アジア / オセアニア / 物質文化 / 文化遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本を含むアジア地域を主たる研究対象とし、各地域・民族の生活文化や慣習に根ざした広義の布工芸品の生産・流通・消費が、グローバル・ネットワークの進展に伴ってどのような変化を遂げてきたかを明らかにするものである。 初年度となる平成26年度は、研究代表者、研究分担者5名、連携研究者4名、および海外研究協力者1名が、インド、インドネシア、中国、オーストラリア、パプアニューギニア、日本においてフィールド調査を実施し、各地での布工芸品生産の現状と変化、マーケティングのあり方などに関する詳細な情報を収集した。 このうち、インド・アッサム州およびブータンにおける調査(2014年8月)は、インドネシア、インド、中国での調査経験を持つ研究メンバー4名による共同調査である。布が自家生産・自家消費の文脈を離れる中で、威信財としての価値が多少残りつつも、素材の生産と流通に変化が生じ、また商品化が急速に進んでいるブータンの現状から多くの示唆を受けた。また、2015年1月に行った沖縄本島での共同調査には、10名が参加し、産地ごとの生産体制や組合組織のバリエーションを確認すると同時に、縮小しつつある着物産業を主たるターゲットとした沖縄地域の布生産が直面する課題が明らかになった。 3回にわたって実施した研究打ち合わせでは、各メンバーによる個別のフィールド調査の成果の概要を共有すると同時に、個別のテーマに関する研究発表も行い、議論を深めることができた。このように共同調査を挟みつつ、共通の参照枠組みと各自の調査による個別事例を重ね合わせることにより、全体での問題意識の深化を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、国内で4回の研究打ち合わせを実施したばかりでなく、うち1回の沖縄での打ち合わせは実質的に共同調査に発展させることができた。また、初年度には海外での共同調査は予定していなかったが、従来の調査地域での知見を活かし、インド・ブータンでの共同調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は初年度の成果を踏まえ、異なる事例を照らし合わせつつ、外部講師の知見も仰ぐことで集中的な討論をするために、論点別のセッションを中心とするワークショップを実施する予定である。また、予定通りオーストラリア・アデレードで開催されるICAS 9(第9回国際アジア研究者学会)でのパネルが採用されたため、海外研究協力者2名を含め、総勢6名が出席し、研究報告を行う。 ただし、当初申請額より大きく減額されているため、次年度に計画していたインドネシアでの共同調査は、平成28年度に実施予定とし、平成27年度は各自の個別フィールド調査を優先する。
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Research Products
(21 results)