2017 Fiscal Year Annual Research Report
日本の議院内閣制統治の構造-予算・政府立法の比較制度分析を通じて-
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26245017
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
佐々木 毅 学習院大学, 法学部, 研究員 (90009803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 淳子 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00251314)
阪野 智一 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (10162299)
待鳥 聡史 京都大学, 法学研究科, 教授 (40283709)
谷口 将紀 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (60251435)
安井 宏樹 神戸大学, 法学研究科, 教授 (60396695)
伊藤 武 専修大学, 法学部, 教授 (70302784)
平野 浩 学習院大学, 法学部, 教授 (90222249)
野中 尚人 学習院大学, 法学部, 教授 (90264697)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 議院内閣制 / 比較制度 / 政府立法 / 比較議会論 / 先進民主制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第4年度である平成29年度には、通常型の研究会を4度、外部の幅広い有識者を交えたシンポジウムを1度開催した。また、海外出張による調査としては、フランスの大統領選挙・議会選挙、またドイツとイタリアの総選挙に際してそれぞれ実施した。 4月15日に実施した第1回の研究会では、江田五月元参議院議長からヒアリングを行い、参議院の立場から見た立法プロセスの特質や衆議院と参議院との間の両院間関係について実務の責任者の見解を聴取することができた。6月24日の第2回目の研究会では、阪野教授が、6月8日に実施されたイギリスの総選挙について詳細な報告を行った。宙吊り議会の再来、2大政党間競争への回帰の傾向、などを含め、ブレギジット後のイギリス政治の動向について意見交換した。また、野中教授からは、5月に実施されたフランスの大統領選挙に関して、マクロン勝利の意味や政党システムの変容などが報告された。10月14日に実施した第3回の研究会では、9月に行われたドイツ連邦議会選挙に関して、出張調査を行った安井教授から報告を受けた。平成30年2月14日に行われた第4回目の研究会では、元衆議院法制局の第四部長であった茅野千江子氏から、近著『議員立法の実際』の内容を踏まえて、政府立法と議員立法の相違や相互関係などについて実態的な様々な情報を提供してもらうとともに、本研究会のテーマとの関係について突っ込んだ意見交換を行った。 他方、12月16日には、政策研究・提言機関である日本アカデメイアと協力し、実務家・研究者・ジャーナリスト、さらにジャーナリストなどの有識者を交えて今般の先進各国の政治状況、特にポピュリズムとの関連などについて幅広く意見交換を行い、研究成果を社会に還元する活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、日本での議院内閣制の制度・仕組みとその実態的な側面の両方に関して、政府立法と予算という、統治活動にとってもっとも根幹的な側面に特に注意を払いつつ、ヨーロッパを中心とする他の先進民主主義国との比較を行うことによってその特質を明らかにしようとしている。議院内閣制という制度に立脚する戦後日本の政治について、他の先進民主主義国との比較という視点から論じるものと言って良い。 これまで、分析対象とする各国の基礎的な情報や制度的な条件、さらに近年の変化について、それぞれの国の担当者が継続的に調査し分析を積み上げてきた。また、近年はブレギジットやアメリカでのトランプ大統領の誕生を始めとして各国にいわゆるポピュリズムというべき政治状況が広がっていることに鑑み、そうした大きな意味での民主政治の変容との接点にも注目しつつ、検討を進めてきた。 こうした状況の下、平成29年度には、政策分析提言機関である日本アカデメイアと協力し、隣接分野の研究者やジャーナリスト、また実務家・政治家といった人々を招いてシンポジウムを行った。学術研究の社会的な還元の一環である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、概ね予定していた調査・研究を進めてきた。基礎的な情報収集、制度分析、比較分析などに学術的な見地から取り組んできた。また、平成29年度には、研究者、実務家・政治家や、ジャーナリスト・財界などのオピニオン・リーダー達と協力してシンポジウムを開催するなど、研究成果の社会への還元に努めるとともに、それらの方々からのフィードバックを吸収することにも取り組んだ。 ただし、本研究は、政府立法や予算についての比較分析を中心として研究を進めてきたが、ほとんどすべての先進民主国においてポピュリズム現象が急激な拡大し、それに伴って政党システム・選挙のありかたが大きな変化を見せつつあることに鑑み、こうした全体としての議院内閣制の統治システムの分析・検討という側面に関して、従来以上の重みを与えながら研究を継続してきた。 最終年度である平成30年度には、これまでの研究成果を学術的な観点から取りまとめる作業を進めるとともに、社会的な還元やそこからのフィードバックという側面にも引き続き取り組む予定である。
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Research Products
(24 results)