2015 Fiscal Year Annual Research Report
アマゾン熱帯雨林の保全と開発の革新に向けて~農村共同体の内生的立地と貧困の罠
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26245032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高崎 善人 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00334029)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 開発経済学 / 農村 / 貧困 / 熱帯雨林 / 国際研究者交流 / カナダ / ペルー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ペルーアマゾンにおいて最大規模のフィールド調査(流域全村調査5支流域919村、農村・家計標本調査239村、約4000家計)を実施し、最新のGISデータ、分析と組み合わせて、熱帯雨林の保全と開発に向けて革新的な研究を行うものである。2年目の今年度は、主に次を実施した。 1. 第1回農村・家計標本調査フェーズ2を、前年度のフェーズ1に引き続き実施した。多くのフィールドでの困難、障害(下記に詳述)を乗り越えての成果である。また、第1回農村・家計標本調査フェーズ1, 2のデータ校正を行い、予備的分析を行った。 2. 既存の関連GISデータを収集し、流域全村調査の空間情報と統合することで、様々なGIS データベースを構築した。新しいGIS分析手法の検討、開発を行った。特に、河川ネットワーク距離測定方法を開発した。また、ペルーアマゾン全域に拡張可能なGIS分析手法を検討した。 3. 流域全村調査データについて追加のデータ校正を行い、テーマごとの分析を行い、成果を発表した。主なテーマは、生業選択の農村環境・経済決定要因、農村社会ネットワーク分析、河川ネットワーク距離分析である。特に、最初のテーマについては、第1回Forests & Livelihoods: Assessment, Research, and Engagement (FLARE) Network Conferenceの本会議で報告し、大きな反響を呼んだ。 4. 流域全村調査データ、GISデータ、第1回農村・家計標本調査データを用いた研究テーマ(継続、新規、計20テーマ)を選定し、研究計画を策定した。継続テーマの一部について分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査農村へのアクセス(低水位による水上交通の制約)、調査村家計の一時的移住(都市への出稼ぎ)、現地調査体制の再整備(調査員の補充)、現地調査員の健康管理(伝染病疾病)等により、第1回農村・家計標本調査は、当初の計画に較べ格段に多くの時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
主に次の理由から当初想定していた研究計画を変更する。第一に、第1回農村・家計標本調査の実施に想定外の時間を要したことで、第2回調査を当初の計画通りに進めることは不可能である。第二に、流域全村調査データ、GISデータ、第1回農村・家計標本調査データの分析が、当初想定していた以上に様々な発展的な研究につながることが分かり、まずは各研究テーマの分析を十分に行うことが、第2回調査をより発展的に、斬新にデザインするために不可欠である。第2回調査は仕切り直した形で新しいプロジェクトに発展させることとし、本研究では今後主に次を進める。 1. 第1回農村・家計標本調査フェーズ3を実施し、同調査を完了する。同データの校正を行い、データベースを構築する。 2. 各研究テーマごとに、流域全村調査、GISデータ、第1回農村・家計調査データの分析を行い、成果を発表する。ペルーアマゾン全域をカバーするGIS分析を含む。 3. 理論・方法論研究を進展させる。特に、農村立地、地理的貧困の罠、共同体プログラム資源配分・インパクト評価に関する既存理論・方法論を整理し、発展させる。
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