2014 Fiscal Year Annual Research Report
サービスイノベーションにおける科学的・工学的手法の役割と価値に関する基礎的研究
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26245044
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
日高 一義 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 教授 (50565736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸谷 圭子 明治大学, グローバルビジネス研究科, 教授 (20350308)
梶川 裕矢 東京工業大学, 大学院イノベーションマネジメント研究科, 准教授 (70401148)
持丸 正明 独立行政法人産業技術総合研究所, デジタルヒューマン工学研究センター, センター長 (90358169)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サービスイノベーション / サービス科学 / 製造業のサービス化 |
Outline of Annual Research Achievements |
東工大では、本件研究の活動を遂行するために、東京工業大学・技術系専門職課程学生、そのOB、サービス研究に関心の高い社会人、産学の研究者からなる「サービス科学研究会」を立ち上げ、原則毎月3土曜日に研究会を行った(全10回)。 本研究会は1)サービス科学における基礎概念の整理と構築、2)サービス科学における尺度と測定方法の整理と開発をとおして、本科研費件研究の目的を達成する事を目的とする。平成26年度はまず、既存研究の調査を行うために、“Service Science, Management, Engineering, and Design (SSMED): Outline & References”, Jim Spohrer (IBM Research), Stephen K. Kwan (San Jose State University) から出発し、関連する学術領域の文献を順次、調査・研究する形で進められた。主に、Marketing and Quality Measure、Operations and Productivity Measure、Design and Sustainable Innovation Measure、Futures: Management and Strategy、Science and Leadershipに関して調査・研究した。交通サービスにおける提供情報の影響を測定する研究を行い国際会議で発表した。(Matsumoto T., Hidaka K., 2014) 産総研では、産業技術総合研究所サービス工学研究センターを調査対象として工学的手法の整理を行うとともに、フィンランドVTTを訪問し、科学的・工学的手法の調査を行った。 明治大学では、ヨーテボリ大学、ドイツ・Fraunhoferを訪問し調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の活動として今後の研究の方向性を与える多くの知見を得ることが出来た。サービス科学研究会での活動により、既存研究および今後取り組むべき課題が整理できた。その課題の一つとして、製造業におけるサービスの研究、および製造業のサービス化の研究が大事であることが示唆された。交通サービスにおける情報提供の研究を通して、サービスの評価の基準としてその環境の特殊性を考慮したものから多くの知見が得られる事がわかった。(Matsumoto T., Hidaka K., 2014) 技術経営におけるサービス研究の位置づけに関して国際会議で発表した(Hidaka K., 2014) 産総研では、顧客・従業員の行動計測技術では、身体装着センサを用いて動線を計測する手法が開発され、顧客・従業員動線解析と可視化を実現している。計測している指標は、顧客・従業員の動線であり定量的、客観的指標に限られている。飲食、宿泊、観光サービスに活用され、イベントの効果やサービスプロセス変更の影響を評価する手法として実利用されている。介護サービスにおいては、身体装着センサを用いず、手持ち型のITデバイスを従業員間の申し送りシステムとして導入している。主観を含むサービスプロセス情報をログとして収集し、テキストマイニングなどで分析する手法を研究している。大規模な顧客・従業員データのモデル化技術では、顧客・従業員の行動・主観データから、顧客・従業員の行動類型を分析し、各類型と行動の間の確率的関係をモデル化する手法を研究している。飲食、小売、観光サービスに活用され、潜在的な顧客類型を探索する手法として実利用されている。以上の指標、手法の有効性が具体的に研究された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、サービスイノベーションにおける科学的・工学的手法の役割と価値を解明し、体系的に整理をし、サービスの生産性と質の向上の為の科学的・工学的手法の効果的利用を促進することにある。そのためにサービスを業種ではなくサービス特性により分類・整理することを通じてサービスの本質を理解することを目標としたが、教育、医療、交通サービスなどのサービス産業のみならず、製造業におけるサービスも対象として、以下、[1]-[3]の研究を進める。[1]サービス特性指標に基づくサービスの分類方法の研究・開発、[2]サービスイノベーションにおける科学的・工学的手法の効果の調査・研究、[3]サービスイノベーションにおける科学的・工学的手法の役割と価値の体系的整理。 海外の大学の研究者との研究交流を積極的に行う。特にサービス研究の世界的な拠点であるCambridge大学のservice science white paper の研究・開発に参加する。サービス科学研究会の活動をより拡大し、幅広い分野の研究者との研究を行う。交通サービスにおける情報提供の研究を継続する。教育サービスにおけるプロセス品質の問題に取り組み、プロセスに対する評価尺度の研究を行う。製造業のサービス化における類型化、企業の遷移に関する調査を行い、製造業のサービス化の評価尺度の研究を行う。学術雑誌への投稿を積極的に行う(Serviceology 等)。
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Research Products
(2 results)