2017 Fiscal Year Annual Research Report
サービスイノベーションにおける科学的・工学的手法の役割と価値に関する基礎的研究
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26245044
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
日高 一義 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (50565736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸谷 圭子 明治大学, グローバル・ビジネス研究科, 専任教授 (20350308)
梶川 裕矢 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (70401148)
持丸 正明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究部門長 (90358169)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サービスイノベーション / 価値共創 / サービス化 / サービス科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
東工大においては、サービスイノベーションにおける科学的・工学的手法の役割と価値に関する基礎的研究の為に、多様な研究者による研究活動であるサービス科学研究会、サービス価値の理論研究、教育、運輸、旅行サービスを対象とした理論・実証研究を行った。 サービス科学研究会では、ブロックチェーンの実態と社会・経済への影響、サービスロボットを含むロボット技術における社会的Attention の影響、スマートメータ・データの分析による社会サービスイノベーション、プロセス産業におけるデジタルトランスフォーメーションに関し、各界のリーダを迎え研究討論を行うとともに知見を整理した。 理論・実証研究として、サービスコンテキストとサービスコンテンツによる価値共創フレームワークの開発、製造業のサービス化における顧客価値のフレームワークの開発、サービスシステムにおける知性を判断するフレームワークの開発、サービス価値の計測を行う為の尺度の研究、教育サービスにおけるラーニングエクスペリエンスに関する研究、航空旅客輸送における顧客満足に影響を与える要因の分析、修学旅行における成長・満足要因の分析、サービスの研究領域に関する分類方法の開発を行った。 産総研では、昨年度実施した製造業向けアンケート調査を、定点調査として継続実施し基本分析を行った。明治大学では、昨年度実施した製造業向けアンケート調査を、定点調査として継続実施するための、新たなサービス段階の分類仮説に基づくアンケート調査設計と詳細分析を行った。さらに、定量調査データに基づいて、価値共創認識(知識価値、感情価値)の変化について分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東工大においては、サービスコンテキストとサービスコンテンツによる価値共創フレームワークの開発においてコンテキストをvalue enablerと考える新たなフレームワークを提案した(Frontiers in Service 2017)。製造業のサービス化における顧客価値のフレームワークの開発に関しては、顧客価値をintrinsic value とauxiliary value に分類してとらえるフレームワークを提案した(Spring Servitizaiton Conference 2017)。サービスシステムにおける知性を判断するフレームワークの開発によりサービスシステムにおけるWisdom とはどうのように考えられるのかを提案した(International Conference on AHFE 2017)。教育サービスにおけるラーニングエクスペリエンスに関する研究では形成に影響を与えている要因が定量的に分析されるとともに、エクスペリエンスが生徒・学生のネットプロモータースコアに影響することが示された。この研究は博士課程学生の博士論文に結びつけることができた。航空旅客輸送における顧客満足に影響を与える要因の分析、修学旅行における成長・満足要因の分析、サービスの研究領域に関する分類方法の開発に関しては国内学会の発表へ成果をまとめることが出来た(サービス学会第6回国内大会)。特にサービス研究領域の分類においては今まで注目されていなかった研究領域を発見できるなどサービス研究に多大な貢献があった。 産総研・明治大学の2年間の定点調査から、製造業のサービス化の障壁には、企業文化やリーダーシップなどの経営学的支援が求められる要因と、顧客情報を企業の知識価値に繋げるなど、IoTやAIで支援可能な要因があることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
東工大では、研究会の実施、サービスにおける価値および価値共創に関する理論研究の実施、具体的なサービス産業における実証研究の実施、製造業のサービス化を対象とした実証研究の実施により、多くの研究成果を得、学会。論文発表等活発に行うことが出来た。今後は、過去4年間の成果である交通サービスに関する研究成果、教育サービスおよび製造業のサービス化に関する研究成果、価値の創造におけるフレームワークにおける各研究成果を土台として、各個別研究を深堀するとともに、研究成果の統合化・一般化を検討し、サービスイノベーションにおける科学的・工学的手法の役割と価値に関する基礎的な知見を取りまとめていく推進方策を設定した。 産総研では、製造業のサービス化の障壁となっている要因のうち、優先順位が高く工学的手法での支援が期待できるものについて、解決のために有効となる工学的手法の整理、事例の収集を進めていく。2017年に発足した、国際標準化機構ISOのサービス・エクセレンスに関する新しい技術委員会TC312の活動にも関与し、情報収集、整理を進める。この技術委員会では、サービス・エクセレンスの理念として「integrated approach in order to deliver out-standing customer experiences」「leveraging of technology」を掲げており、科学的・工学的手法の活用が示されている。 明治大学では、製造業のサービス化の障壁となっている要因のうち寄与率が高いものについて、イノベーションを推進する経営学・マーケティングサイエンスの手法の整理、成功事例の収集を進める。企業マネージメントの変革における価値共創認識(知識価値、感情価値)の尺度化手法の有効性を中心に整理を進める。
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Research Products
(26 results)