2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26245046
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金井 壽宏 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80135780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉万 俊夫 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (10135642)
守島 基博 一橋大学, 商学研究科, 教授 (60230116)
中村 和彦 南山大学, 人文学部, 教授 (30269683)
松尾 睦 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20268593)
北居 明 甲南大学, 経営学部, 教授 (30278551)
鈴木 竜太 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80295568)
松嶋 登 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10347263)
小野 善生 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (80362367)
中原 淳 東京大学, 大学総合教育研究センター, 准教授 (00342618)
尾形 真実哉 甲南大学, 経営学部, 教授 (50454723)
服部 泰宏 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (70560150)
浦野 充洋 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教 (10613614)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 組織開発 / 実践 / アクションリサーチ / 規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、実務界で注目を浴びてきた組織開発の理論的基盤を確立するとともに、他の研究領域から横断的に得られた知見をもとに組織開発のレパートリーを充実させ、実践していくことにある。本研究は、以下の三つの目的のもとで進められる。第一に、組織開発の理論的基盤を確立することである。第二の目的は、組織開発のレパートリーの充実化である。第三に、組織開発の実践である。 初年度にあたる本年度は、当初の計画通り、「組織開発の理論的基盤の整備」を中心に行い、以下のような業績をあげることができた。組織開発の理論的基盤の整備としては、組織開発の学説史を検討し、組織開発のアイデンティティの探求を行った。具体的には、組織開発がアクションリサーチや経営管理論といった学術的ルーツを持つ、学問分野であることを明確にし、現在における組織開発の学問観や理論的視座について検討を行った。その成果は、研究代表者である金井を中心にまとめられ、日本情報経営学会誌に掲載された(貴島・砂口・藤井・藤木・松下・金井, 2014)。さらに、金井や中村は組織開発の実践家が集まるOD Network Japanの国際大会に参加し、組織開発の実践や日本における組織開発の系譜についての報告を行った(シャイン・金井, 2014; 中村, 2014)。また、守島と北居は、現場から生まれる組織変革について、理論的な検討を行ない、事例を交えた書籍を刊行した(川上・守島・島津・北居, 2014)。加えて、本科研メンバーそれぞれの専門分野である、組織開発、経験学習、フォロワーシップ、若手社員の組織適応、人的資源管理論といった組織開発に隣接する領域からも理論構築が行われた。また、そうした知識がどのように実務家に普及するのかについての調査、分析も行われた(服部・新井, 2014)。これらの成果は、論文、学会発表、書籍を通じて国内外に発信された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織開発の理論的基盤の整備として、組織開発の学説史的検討に加え、組織開発の実践家からの語りから、現在の組織開発のアイデンティティの所在の探求を行うことができた。その成果は、学術論文だけではなく、組織開発の実践家が集まる国際大会にて報告することができた。 研究者による組織開発実践については、まだ未着手ではあるものの、協力企業とのコンタクトは続いており、今後の進展が見込まれる。現在まで、現場発の組織開発(川上・守島・島津・北居, 2014)や、職場におけるコミュニケーションの改善といった理論的論考に基づいた研究発信(中原, 2014)ができている。また、ヤフー・ジャパン株式会社における経験学習についての研究を行っており(Matsuo, 2014)、今後ともこうした企業との連携を維持しつつ、研究を行っていく。そのため、統合的に見れば、おおむね順調な進展だと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一の課題は、理論的基盤の更なる精緻化である。今後、これまでに検討してきた研究成果を国内外の学会で報告し、骨太な議論として鍛えていく必要になる。とりわけ、実務家を中心に発展してきた組織開発に対して、経営学の理論や知識を注入し、経営学の議論として組織開発論を打ち立てる必要がある。第二の課題は、研究者による組織開発実践への着手である。次年度からは、組織開発のレパートリー開発に着手し、研究者による組織開発の実践に取り組む。第三の課題は、組織開発の実践によって得られた知識を、組織開発の理論に折り返すことで、理論と実践の統合を行うことである。次年度からは、調査対象企業と密にコンタクトをとりつつ、実践家が行う組織開発を、研究者の立場から、分析し、研究者も利用可能なツールへと昇華させると同時に、その理論的含意について検討を行う。 最後に、本研究の成果を学会だけではなく実務界へも同時に発信していく。調査協力者である関西生産性本部等の経済団体と協力しながら、幅広い業種業態の実務家に対して、組織開発に関わる研究成果について報告を行う。
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Research Products
(39 results)