2014 Fiscal Year Annual Research Report
日欧自動車メーカーの「メガ・プラットフォーム戦略」とサプライチェーンの変容
Project/Area Number |
26245047
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古川 澄明 山口大学, 経済学部, 教授 (10148992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居城 克治 福岡大学, 商学部, 教授 (20279251)
塩次 喜代明 福岡女子大学, 文理学部, 教授 (30154173)
目代 武史 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40346474)
李 澤建 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (40570495)
木村 弘 広島修道大学, 商学部, 准教授 (50336070)
竹原 伸 近畿大学, 工学部, 教授 (50460928)
内田 和博 広島工業大学, 工学部, 教授 (60565505)
岩城 富士大 広島市立大学, 国際学研究科, 非常勤講師 (70615020)
折橋 伸哉 東北学院大学, 経営学部, 教授 (90364398)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メガ・プラットフォーム / モジュール / 次世代自動車 / サプライチェーン / 海外事業 / メガ・サプライヤー / 電子部品 / 自動運転 |
Outline of Annual Research Achievements |
【概観】日欧完成車メーカーが推進する「メガ・プラットフォーム戦略」は、車両の多様化・複雑化・コスト増に対応して、長期商品計画に基づく車台開発、車種・車両セグメントを越えた設計思想の共通化や部品共通化による開発効率化とコスト削減を図る取り組みである。この動きが製品開発や生産、サプライチェーンの再編をグローバルベースでもたらし、自動車業界全体の構造を変容させることは、必至である。このもの造りシステムの変化とその背後の論理、部品業界における再編の実態と動因を解明することが研究の目的である。具体的には、本研究の問題意識は、①メガ・プラットフォーム戦略の合理性や経済性の「論理」がどこにあり、各社のアプローチの違いがどのような「要因」により規定されるのか、そして②この新戦略を通じて、完成車メーカーとサプライヤーとの関係がどのように変化し、部品業界がグローバルレベルでどのような再編(集約化・淘汰)を辿るのか、という点にある。 【研究計画の進捗状況】6分野で、予定通り、一部予定以上に進捗:上記2つの問題意識⇒《3つの主要課題・6つの分野別課題》課題1「自動車部品産業の構造変化要因の実態解明」:①自動車・部品メーカーの海外シフト、②自動車・部品メーカーのグローバル調達増加。課題2「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略(*)の実態解明」:③新モジュール/新プラットフォーム戦略(含:部品のグローバル標準規格化)、④次世代自動車。課題3「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略の部品産業への影響実態の解明」:⑤自動車部品の新素材増加、⑥電気・電子部品の増大。 【研究組織】「分担型リーダーシップ」方式を採用し、6グループを各分野専門家リーダーが研究推進を指揮し、複数リーダーを中心にエグゼクティブ・チームを編成して研究代表者が調整役を担い、研究全体のバランスを取りながら予定の成果を上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【理由】完成車メーカー各社の「メガ・プラットフォーム戦略」を座標軸に、①日欧戦略とサプライチェーンの相違、②日系完成車メーカーの系列的協業体制の変化と要因、③日系サプライヤーのグローバルな再編の動因を解明。課題1「自動車部品産業の構造変化要因の実態解明」:①自動車・部品メーカーの海外シフト、②自動車・部品メーカーのグローバル調達増加⇒予想以上に、部品メーカーのグローバル化格差を確認。課題2「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略の実態解明」:③新モジュール/新プラットフォーム戦略(含:部品のグローバル標準規格化)⇒欧州メーカーの戦略的成果に一定の成果見通し。④次世代自動車(EV, HV, PHV, FCV, CDV, HPV) ⇒ 一定の方向性を確認することができた。課題3「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略の部品産業への影響実態の解明」:⑤自動車部品の新素材増加、⑥電気・電子部品の増大 (担当に含む:欧米系メガサプライヤーの参入) ⇒ 素材面での新動向を確認。電機・電子分野では、とくに自動運転等の新しい技術の発展動向への研究を広げている。モジュール化戦略は次世代自動車や自動運転などの新技術分野の進展と連動している。 【計画以上の進展理由】過去に調査実績のある部品サプライヤーへの人脈や、元自動車産業に関わっていた研究分担者業界経験や人脈、さらに若手研究分担者の熱意などにより、プロジェクトの国際トップレベルの研究水準が実現しており、事実それが、業界側との対等な情報交換を可能にしていて、期待以上の研究成果を得ている。それだけに、本プロジェクトは、製品開発領域を始めとして機密性の高い企業情報についてヒアリングを行うので、企業秘密に関わる情報交換も多く、企業機密情報の取扱い(法的責任・情報秘匿契約・紳士協定)に慎重でなければならない。その意味でも、計画以上の成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究課題】(1)「3つの主要課題」解明の方向性で、「6つの分野別課題」を追究する。そのために、①国内調査(各チーム独自性を尊重)と海外調査(本プロジェクト合同調査)を実施する。②海外調査では、自動車部品業界のグローバルな再編を加速させる要因(仮説、検討課題)を追究、自動車・部品メーカーの海外シフトからグローバル生産拠点ネットワーク化への進化を探る。(2)海外調査地域:メキシコ調査(15日間)、中国調査(7日間)、第3次欧州調査(7日間)。(3)前年度中、予想を超えて加速を見せている研究開発の新しい動向へも光を当てる。①48V電源対応の要素技術の発展とハイブリッドカー研究開発への影響。48V要素技術が整いつつあり、2016年実用化が、ハイブリッドカーや燃費改善効果を狙って、世界自動車業界の研究開発競争で、量産製品化への動きが出始めている。②電動化と自動運転の技術開発競争が成果を上げつつあり、自動車業界の勢力図が変わると言われ始めた。安全運転支援に向けた自動運転技術開発競争は加速している。動向調査は、本プロジェクトの研究成果に大きな影響となる。 【研究方法】 (1) 運営方針》平成27年度は、前年度プロジェクト運営方針を踏襲して課題を追求し、年度末報告会において全体成果を確認する。①6つの専門分野分業方式:6人のチームリーダーの指揮の下、各チーム課題を達成する。②研究会議:(1)年間5回開催予定、最終回は研究成果報告会(非公開)と兼ねる(平成26年度運営実績:研究会議を広島と福岡において通算5回開催、研究進捗状況と所期目的達成を確認。年度末の3月29日・30日両日、全メンバー参加の「研究成果報告会」(兼、第五回研究会議)を開催、各研究の進捗状況を確認、次年度課題を討論した)。(2) 『年度研究報告書』の刊行及び『年度研究報告・資料集(内覧用)』の編集:(3)公開フォーラム開催。
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Remarks |
科学研究費基盤研究A研究プロジェクト(研究テーマ「日欧自動車メーカーの『メガ・プラットホーム戦略』とサプライチェーンの変容」研究期間平成26年度~平成28年度)は山口大学吉田キャンパスで、平成27年3月29日・30日の両日、平成26年度国内外ヒアリング調査研究の成果報告と平成27年度研究計画再確認を目的に第1回研究報告会(兼・第5回研究会議)を開催。『内覧報告書』(非公開・896頁)を編集・配布。
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Research Products
(51 results)