2015 Fiscal Year Annual Research Report
日欧自動車メーカーの「メガ・プラットフォーム戦略」とサプライチェーンの変容
Project/Area Number |
26245047
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古川 澄明 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (10148992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居城 克治 福岡大学, 商学部, 教授 (20279251)
塩次 喜代明 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (30154173)
目代 武史 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (40346474)
李 澤建 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (40570495)
木村 弘 広島修道大学, 商学部, 准教授 (50336070)
竹原 伸 近畿大学, 工学部, 教授 (50460928)
内田 和博 広島工業大学, 工学部, 教授 (60565505)
岩城 富士大 広島市立大学, 大学院国際学研究科, 非常勤講師 (70615020)
折橋 伸哉 東北学院大学, 経営学部, 教授 (90364398)
平山 智康 岡山大学, 研究推進産学官連携機構, 准教授 (90743998)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モジュール化 / メガプラットフォーム / サプライチェーン / グローバル調達 / 次世代自動車 / 生産システム / 新素材 / 電子電機部品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究開始時の平成26年度に設定した、2つの問題意識・3つの課題・6つの分野別課題に基づいて、平成27年度は前年度の実績を踏まえた国内外調査を実施した。但し海外調査計画で予定していた中国調査だけを、ヒアリング先事情に起因して平成28年度に繰越した。また平成27年度の研究成果確認のために、年間4回の研究会議(5月・6月・12月・3月)を開催した。 国内調査は、下記3つの課題ごとに分野別課題に応じて、単独調査ないし共同調査の形で、自動車メーカー及び部品サプライヤー、シンクタンク等へのヒアリングを実施した。海外調査は、欧州(9月)、北米・メキシコ(9月)といった調査対象地域ごとに、調査ミッションを組織編成し、各分野別課題の解明のために自動車メーカー(マツダ、日産自動車、トヨタ自動車、VW、AUDI他)、部品サプライヤー(日系及びドイツ系)、自動車関連研究所、コンサルティング企業などを視察・ヒアリング調査し、また情報交換した。 課題1「自動車部品産業の構造変化要因の実態解明」については、(1)自動車・部品メーカーの海外シフト、(2)自動車・部品メーカーのグローバル調達増加を、課題2「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略の実態解明」については、(1)新モジュール/新プラットフォーム戦略、(2)部品のグローバル標準規格化、(3)次世代自動車の開発・製品化動向を、課題3「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略の部品産業への影響実態の解明」については、(1)自動車部品の新素材増加、(2)電気・電子部品の増大や欧米系メガサプライヤーの参入を調査・研究した。 その他、海外ワークショップ派遣(ディスブルク大学ワークッショプ、平成27年6月)、公開講演会(「福岡モーターショー2015」と併催、九州経済産業局と共催、平成27年12月)、日韓合同研究会(平成28年2月、九州大学)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)課題1「自動車部品産業の構造変化要因の実態解明」(塩次、折橋、李、木村、居城、太田、平山)については、①自動車・部品メーカーの海外シフト、②自動車・部品メーカーのグローバル調達増加を調査した。日本の地場自動車部品サプライヤーの海外生産拠点開設や、系列を離れた国内外取引先開拓や、アセアンにグローバル開発・ロジスティックス拠点を置くTier 1の出現などを確認できた。 (2)課題2「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略の実態解明」(岩城、目代、古川、李)については、海外サプライチェーンとの関連を調査した。車両セグメントを越えた部品共通化は戦略の合理性や経済性の追求という点で共通であったが、「新車両設計アプローチ」の違いを反映して自動車メーカー・グループごとに異なる形態が見られ、部品共通化に伴うグローバル・サプライチェーンの変容実態が明らかとなった。欧州、アセアン、メキシコ、日本国内での前年度調査成果と併せて検討した結果、温度差はあるが、部品共通化に対応した部品メーカーのグローバル・サプライチェーンの進化を観察できた。目代は、近年の日欧自動車メーカーの新車両開発戦略がモジュール化第2波と位置付けうることを明らかにした。モジュール化第1波は生産・調達領域での部品複合化であったが、第2波は製品設計における製品システムの切り分けとデザイン・ルールの確立、設計モジュールの組み合わせによる車種バリエーションの創出と部品共通化にあることを示した。この研究成果は、目代により国際学会(ドイツ2件、韓国1件)で報告された。 (3)課題3「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略の部品産業への影響実態の解明」(竹原、内田、岩城、目代、李)については、自動車部品の新素材増加、⑥電気・電子部品の増大に注目して調査した。次世代自動車の開発・生産の分野でもモジュール化の部品産業への影響を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)課題1「自動車部品産業の構造変化要因の実態解明」(塩次、折橋、李、木村、居城、平山、太田=研究協力者)については、アセアン、メキシコ、中国の調査を予定しており、自動車部品メーカーのグローバル調達増加や、新規取引先開拓をめぐるグローバル・ベースでの部品製造・供給ネットワークの競合関係に注目する。 (2)課題2「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略の実態解明」(岩城、目代、古川、李)については、目代と岩城を中心に、引き続き、日欧自動車メーカーの製品開発戦略について実証的な調査を実施していく。とりわけ、トヨタについては、TNGAベースの車種(プリウス)が発売されたことから、これまで概略の把握にとどまっていた部分を、実際の商品開発に即して具体的に明らかにしていく。また、これまでの研究成果を英語論文にまとめ、国際ジャーナルへの投稿を積極的に行っていく予定である。平成28年度は本研究の最終年度となる。平成27年度の欧州調査でフランクフルトショーの最中にVWのディーゼル車の排気ガス偽装問題が発覚し、電動化への動きが急加速している。次世代自動車担当としては、欧州におけるこの動きを正確に捉えるとともに世界最大の自動車生産国で、かつ大気汚染対策が急務の中国における次世代自動車への取り組みから、プラットフォームへの影響を分析して、サプライチェーンへの影響:特に地域のサプライヤーへの影響を低減していく。一方、平成28年9月の欧州調査の一月後、欧州で大規模なテロが発生した。安全の万全な配慮の下での調査を心掛けていく。 (3)課題3「新モジュール戦略・新プラットフォーム戦略の部品産業への影響実態の解明」(竹原、内田、岩城、目代、李)については、世界の自動運転技術開発・製品化と新素材の製品活用に注目して調査研究を進め、部品産業への影響を検討する。
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Remarks |
(1)は、経済産業省九州経済産業局地域経済部製造産業課との協賛。
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Research Products
(41 results)