2014 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化以降における資本制再編と都市―インフラ論的転回と市民社会の研究
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26245057
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
町村 敬志 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (00173774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 淳子 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (30582788)
植田 剛史 愛知大学, 文学部, 助教 (30709267)
山本 唯人 公益財団法人政治経済研究所, 戦争災害研究室, 主任研究員 (50414074)
鈴木 直文 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (80456144)
丸山 真央 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (80551374)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会学 / 東日本大震災 / インフラストラクチャー / 社会運動 / 市民社会 / 脱原発運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
資本制は「フロー空間」を舞台に影響力を拡大してきたが、社会は依然「モノ」の世界に基礎を置く。壁にぶつかった資本制が「モノ」の領域に再埋め込みされる過程で新しい紛争や問題が発生し、そこに国家が再介入する構図が広がりつつある。本研究は、先行する科研費基盤研究(B)「グローバル化以降における資本制再編と都市―<ヒト・モノ>関係再編と統治性の研究」(2011年度~2013年度)の成果を引き継ぎつつ、社会理論におけるインフラ論的転回の動向を見据えながら、この新局面がもつ歴史的意味と都市的表出形態を検討することをめざし、以下の3つの面から2014年度の活動を進めた。研究母体として「社会と基盤」研究会を組織し、研究代表者・研究分担者5名のほか研究協力者13名により計8回の研究会を開催した。 第1に、福島原発事故後に原発・エネルギー問題に取り組んできた全国の市民活動団体を対象に実施した質問紙調査(先行する基盤研究(B)により実施)の分析をさらに進展させた。これにより、当該運動が有する多様性と重層性という特質により、この運動が時間的・空間的に大きな展開を示すことができた背景について論文を発表したほか、単行書公刊に向けた原稿作成とそのための研究会開催を行った。 第2に、インフラ崩壊とその復旧・復興、そして支援活動のネットワーク構築をめざす社会過程を、具体的な地域社会において検討するため、岩手県大船渡市・北上市等における現地訪問調査(計4回)を実施した。またその成果をもとにしたワークショップを2014年8月に開催した。 第3に、脱原発に関わる社会運動、震災支援ネットワーク、インフラ理論分析などに関わる各種研究成果を、世界社会学会議横浜大会(2014年7月)ほかの学会等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
市民活動団体を対象とする全国調査の結果を分析した第一次の学術論文について、予定通り2014年度内に完成し公表をすることができた。引き続き、同じ調査データをもとにした単行書についても繰り返しの研究会を経て、あらかたの原稿を完成させることができた。この点は予定よりも早いペースであった。また、インフラ論、復興過程分析を含めた各テーマについて、国際学会(世界社会学会議横浜大会、2014年7月)での報告を含め、成果を順調に公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題について、2014年度は先行する基盤研究(B)の最終年度という位置づけも併せ持っていたため、この間作業を進めてきた研究プロジェクトの成果取りまとめに重点を置いた形で研究を進めてきた。これが終了し、2015年度からは、完全に現行の基盤研究(A)のプロジェクトに移行する。 このため、既存プロジェクトの成果を踏まえながら、「インフラ論的転回」という新たな理論課題により特化させた形で調査研究を進める。また従来、建造環境を軸に進めてきた研究部門について、課題として掲げた東京研究により焦点を絞りながら、本格的な調査研究プロジェクトを2015年度からスタートさせる。このため、研究代表者・研究分担者等の担当についても見直しを行った。
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