2016 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化以降における資本制再編と都市―インフラ論的転回と市民社会の研究
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26245057
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
町村 敬志 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (00173774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 剛史 愛知大学, 文学部, 助教 (30709267)
佐藤 圭一 東北大学, 大学院文学研究科, JSPS特別研究員(PD) (40757093)
山本 唯人 青山学院女子短期大学, 現代教養学科, 助教 (50414074)
鈴木 直文 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (80456144)
丸山 真央 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (80551374)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会学 / 市民社会 / インフラ / 東日本大震災 / 社会運動 / 脱原発運動 / イベント / 建造環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル化以降の資本制は直面する危機を乗り越えようとする中で、新しい蓄積維持の回路として広義の「インフラ」を焦点化させつつある。震災以降の状況はその一例だった。だがインフラを焦点化させる社会過程は経済セクターだけで進行するわけではない。脱原発やエネルギーシフトをめざす多様な運動を始め、市民社会領域でもインフラに関わる諸実践が積み重ねられつつある。たどり着いたのは、現代社会のインフラ論的転回(Infrastructural Turn)とも言うべき状況である。この新局面がもつ歴史的意味と社会的表出的形態を明らかにするために、次のような研究活動を進めた。 第1に、福島原発事故以後の市民活動団体を対象とする調査を引き続き継続した。2017年予定の調査に向けた準備作業をおこなったほか、2016年2月発行の日本語単行書『脱原発をめざす市民活動――3・11社会運動の社会学』の韓国語訳刊行に向けた打ち合わせを実施した。また御前崎市浜岡でも現地調査を実施した。 第2に、岩手県大船渡市における集落調査を集中的に実施した。これをもとに津波被災により解散を余儀なくされた集落の多面的な存続形態について記録作成を継続している。 第3に、インフラ論的転回に関わる理論的検討を進めるため、2016年9月18日にワークショップ「マテリアリティの政治と「インフラ論的転回」」を愛知大学人文社会学研究所との共催により愛知大学(愛知県豊橋市)で開催した。 第4に、東京における建造環境変容を出来事ベースで解明するため、イベントスペース・データベースを作成し、それをもとに報告書を作成した。 第5に、各部門の成果を発表し共通課題の解明に向けた作業を有機的に進めるため、英文電子ジャーナル『Disaster, Infrastructure and Society』No.6を編集し、全体研究会を計6回開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
並行するサブテーマごとに研究分担者・研究協力者が責任をもって活動を進める態勢が円滑に機能し、現地調査、研究会・ワークショップ、報告書作成、英文成果公表などが当初の想定どおりに進行した。それに加えて、研究成果の韓国語訳刊行決定とそれに向けた準備が開始され、また津波被災地における現地地域社会との共同による詳細な集落記録活動も本格化するなど、当初の計画を越えて全体研究が進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
各部門ごとの活動を引き続き継続する。原発・エネルギーをめぐる市民活動団体研究について新たな全国調査を実施する。本科研費も本年を含めて残り2年となり、ワークショップ開催や英文刊行物発行を通じて研究の積極的な成果公表・交流を進めるとともに、最終のまとめに向けた活動を本格化させる。
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