2015 Fiscal Year Annual Research Report
高品質化の鍵となるSiC貫通転位変換過程のその場観察
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26246019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇治原 徹 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60312641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 俊太 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (30612460)
田渕 雅夫 名古屋大学, シンクロトロン光研究センター, 教授 (90222124)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 結晶成長 / 結晶欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
SiCパワーデバイスの真の実力を発揮させるには、SiC基板結晶の高品質化は絶対条件である。SiC溶液成長法は、超高品質結晶育成法の急先鋒といえる。最近我々はX線トポグラフィー測定を駆使することで、成長過程における貫通転位変換現象が低転位密度化のかぎであることを明らかにした。また、成長界面に形成されるマクロステップが転位の変換現象と関連していることが分かってきた。ただ、この変換現象のメカニズムはわかっていない。本研究では名古屋大学が得意とするトポグラフィー技術により結晶中の転位挙動と固液界面のマクロステップ構造をその場測定することを目的としている。これまでに、最高温度2000℃まで昇温することができる小型ヒーターを設計・開発し、高温環境下でトポグラフィーを測定する技術を確立した。また、それを使って実際に結晶を高温環境下で測定し、転位のトポグラフィー像の撮影にも成功した。さらには、欠陥の一つである積層欠陥に関しては、高温環境下で拡張していくようすをその場でリアルタイムに観察することにも成功している。また、同時に固液界面を観察するために、レーザー干渉計を組み込んだ光学顕微鏡観察装置も、ヒータに設置した。これにより、マクロステップの高温環境下での撮影に成功している。しかしながら、まだ、溶液成長を行いながら、マクロステップと転位挙動の同時測定には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、放射光施設において高温環境下でのX線トポグラフィーの撮影に成功し、さらには高温環境下における欠陥挙動をリアルタイムに撮影するところまで実現している。ここまでは、予定以上に順調に進捗した。また、固液界面構造をリアルタイムに撮影することも実現している。しかしながら、今年度予定していた溶液成長過程におけるその場測定までは至っていない。これは、高温環境では、我々が予測した以上に溶液であるシリコンが蒸発をしてしまい、それが観察を阻害するのと、また溶液がすべて蒸発してしまうというアクシデントに見舞われた。そのため、自己評価では「やや遅れている」とした。ただし、これらは溶液組成を最適化することで、蒸気圧を調整できることが分かっているので、それにより解決できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶成長過程の観察のための装置はすべて揃っており、あとは、観察のための結晶成長システムを構築するのみである。特に27年度の研究により溶媒の蒸発が問題であることがわかったが、これは溶媒組成の最適化で解決できると考えている。
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