2014 Fiscal Year Annual Research Report
LaAlO3/SrTiO3ヘテロ構造の原子スケール電子状態
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26246022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
一杉 太郎 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90372416)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酸化物 / 表面・界面 / 走査トンネル顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
LaAlO3/SrTiO3界面における2次元電子ガスに代表される新奇物性の創出など、ヘテロ構造を利用した、“薄膜”および”表面・界面”に着目した研究が活発化している。これらの薄膜や界面における物性を最大限に制御するには、急峻な界面を有した高品質エピタキシャル薄膜を作製し、温度変化や磁場印加に対する電子状態の変化を、原子レベル空間分解能にて観察・理解することが重要である。 しかし、これまで、走査型トンネル顕微鏡/スペクトロスコピー(STM/STS)を活用し、1 meV程度の高エネルギー分解能で薄膜表面/界面の電子状態を明らかにする研究は皆無であった。実験技術の問題で、従来研究は劈開表面に限られていた。 本研究では、STMと成膜装置を組み合わせた装置を用い、(La,Ca)MnO3 の表面電子状態の解明に取り組んだ。この表面では、ジグザグ状のSTM像が得られ、薄膜内部は金属状態にもかかわらず、表面では半導体的な性質を有することがわかった。 第一原理計算との対応を検討した結果、最表面の原子が変位することがジグザグ状のSTM像の原因であることがわかった。また、この再構成に伴い、MnO6八面体の歪みが減少し、半導体的な性質となることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペロブスカイト酸化物は劈開が可能な物質のみがこれまで研究対象となっていた。 しかし、我々の研究により、劈開できない酸化物でも、薄膜を作製することにより、 原子レベルで制御された表面を有する薄膜が実現可能であることを実証できた。 走査トンネル顕微鏡により、原子分解能で表面物性を探ることができ、 表面構造特有の電子状態の存在を明らかにした。 これらにより、当初構想した研究計画に沿って、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Mn酸化物の結果を早急に論文にまとめる予定である。 さらにSrVO3に研究を展開する。 これまでペロブスカイト酸化物のみに着目してきたが、 スピネル構造を有する酸化物等、別の物質にも展開する予定である。
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