2014 Fiscal Year Annual Research Report
散逸系における空間局在解の階層構造と頑健性の起源の解明
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26247015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西浦 廉政 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (00131277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 雅晴 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20314289)
平岡 裕章 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (10432709)
國府 寛司 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50202057)
上田 肇一 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (00378960)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 応用数学 / 自己組織化 / トポロジー / ネットワーク / 空間局在解 / 階層性 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
成果1.1次元ジャンプヘテロから生じる頑健なパルス生成ダイナミクスの解明:外部入力なしで自発的にパターンを生成する機構の解明を実施し、不連続性など場の不均一性に起因するPulse Generator(PG)機構を1次元3種反応拡散方程式系の場合に連携研究者の寺本らと共同で解明した。バタフライ型の2重に縮退したホモクリニック特異点が組織中心であることが判明し、それが階層的ホモクリニック構造を生み出すことを構造的数値計算により明らかにした。 成果2.興奮素子からなるネットワークダイナミクスの頑健性:興奮型素子として最も代表的なFitzHugh-Nagumo型の素子をもつネットワークにおいて、一部のネットワークが壊れても、自己修復機能が存在することを分担者の上田と代表者の西浦らにより明らかにされた。修復機能はPost-inhibitory-rebound というダイナミクスが鍵となっており、構造の一部が壊れても、抑制がはずれることで、系は自発的に探索を始め、元と同じダイナミック構造を回復するというものである。 成果3.局在光照射に対するBZパルスの感度ダイナミクス:BZパルスは一様な光照射により弱められるが、パルスの空間局在照射による反応応答の詳細は不明であった。実験とモデルによる考察により、パルスのどの位置にどれくらいの照射強度により消滅するか明らかにされた。 上記の主要成果以外に、樟脳円盤の集団運動のダイナミクスについては大きな成果が出た。また2相対流系における定常対流構造の階層性とネットワーク構造についても偶数モード定常対流構造の大域階層ダイナミクスの数値的探索が進んだ。さらに振動テールをもつ1次元粒子解の不均一媒質でのダイナミクスについても数値的解明が進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1次元ジャンプヘテロから生じる頑健なパルス生成ダイナミクス、興奮素子からなるネットワークダイナミクスの頑健性、局在光照射に対するBZパルスの感度ダイナミクス、そして樟脳円盤の集団運動のダイナミクス等については、論文発表も含め、順調に研究が進展している。偶数モード定常対流構造と時間周期進行パルス解(PTP)の大域階層ダイナミクスについては、第一段階の結果をまとめ論文投稿を済ませた。振動テールをもつ2次元粒子解の不均一媒質でのダイナミクスは予想より複雑かつ計算時間がかかっているが、非常に興味深い内容を示唆しており、今後注力していくことで展開が開けると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の中心課題である散逸系パターンダイナミクスの階層構造とその頑健性を、流体系での2相対流モデル、反応拡散系3種系モデル、そしてネットワークダイナミクスを並列的に進行させつつ推進していく。2相対流系では、定常対流構造の階層構造は良く知られているが、それと時間周期進行パルス解(PTP)も含めた全体ダイナミクスについては、衝突などの強い相互作用を経ないと理解できないと考えられる。PTP自身の大域構造も今後明らかにしてゆき、全体像の解明を目指す。反応拡散系3種系モデルについては、局在光照射は実験的にも制御しやすく、ヘテロな場のコントロールという意味で、先行している理論結果と合わせ、ヘテロ場でのパルスの振る舞いについて興味ある結果が得られると期待される。振動テールをもつ2次元粒子解の不均一場での振る舞いは、マクロな量子現象、つまり粒子性と波動性の両面をもち、注目を集めている。今後分担者とも協議し、効率的な数値計算データの収集と解析を行い、研究を推進していく。
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Research Products
(27 results)